忍者ブログ
現場仕事と仲間のこととか、たまにイデオロギー的なことをつれづれに。 読んだ本、すきな音楽やライブのことだとか。 脈絡無く戯言を書き殴る為の、徒然草。
2024/11/25/Mon
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2013/06/03/Mon
これってセクハラなのかも知れませんが……。(笑)



人肌恋しさと最近の無闇な淋しさから、ユウウツな気分になっていたサワムラ。

今日は会社で中々よいことがありました。


朝から仲良しの後輩女子の子と身体を叩きあって挨拶。(←スキンシップ。)

昼飯は珍しく美味しいハヤシライスが食堂にあったこと。

昼休憩時、イチ先輩たちの憩いの場であるアウトロールームに遊びにいって、いじって貰えたこと。
夏祭りに誘ったら、「ひとが集まればいいよー」と乗ってくれたこと。
先輩は、突き放されて楽しんでる私を見て「お前…Mだなー」なんて言って笑ってた。

その後、残りの休憩時間で後輩ミケと愉快な独身中年の先輩・モックさんがいる事務所に行って、だらだらと最近の退職者が多い寂しさを訴えてたらふたりは「みんなおんなじ運命共同体やん~」て笑ってくれたこと。

そして私が椅子に座るミケの肩を上から両手でがしっと掴みゆらゆら揺らしながら「ねー仕事順調ぉー?」て聞いたら「順調も何もいま始まったばっかっすから!」って肩を掴んだことは拒まれず(本当はイヤなはずだけど…)ふつうに答えてくれたこと。モックさんの「これから落ちてくんですやん?」の言葉にみんなで笑えたこと。

「あ、沢村さんって今回、隣の現場の責任者?」「うん」「明後日からボクと同じクラスのヤツがそちらに出張で来るんで、遊び行きますねー」「マジ?!」「ハイ。前後の席だった奴。名前知りませんけど」「何で知らんねん!!!」
なんて、ちょっと新たな会話が出来たこと。

定時後、組合の会議に行ったら最近ずっと会いたかったヤーくんに会えたこと。


なんて。
中々、なかなか、よい1日だった。

拍手

PR
2013/06/02/Sun
スキンシップって、心の安定を保つ重要な手段だったんですよ。

と、言いますのも、最近はめっきりスキンシップする相手が減ってきているので、人肌恋しい、なんてリアルに感じてしまいます。

何年も恋人なんていないので、スキンシップと言ってもせいぜい肩をぽん、と叩く程度なんですが……

それでも前は、後輩のナノやユウは無表情な私にも背後からぽんぽん、と肩を叩いたり背中を押したりして話かけてきてくれましたし、紳士なデブのネギくんには「お前の顔見ると癒されるわ~」と言いながら私が肩をもみもみしたりしていました。
3人とも、この春で異動しちゃいましたけどね!(東京に)

もはや私がスキンシップを取れる相手はミケとヤーくんくらい。
こないだは仕事中、ミケを探しているときに脚立の上で膝をついて中腰で作業をしている彼を見つけ、ふくらはぎをガシッと掴んでやりました。(笑)
もちろん、何事?!と振りかえるミケは私の顔を見てすぐに用件が判ったみたいで、必要事項だけサラリと喋ってくれましたが。珍しく笑顔で。(もしかして、こそばゆかったのか?)
それに対して私は相変わらず無表情で「ありがと」とだけ言って立ち去るという。他人の身体に触れたから満足。(笑)


ちょっとしたことだけど「身体に触れる」ということは相手に心を許している証拠であって、安心感と満足感が得られます。
彼らとは別に特別仲良しというわけではないけれど、日常的に食堂で昼飯を一緒に食ったり、飲み会で鉢合わせたりしたなぁ。

去年まで、私の定位置的な仕事であった機材が今年は入ってきてないんで、心を許せる顔ぶれが周りにあまり集わなくなったのもあります。

その機材はむちゃくちゃ通路が狭いので、よく一緒の仕事になっていたミケとは身体がぶつかることが頻繁にあって、でも私は彼がお気に入りなので「こいつ、わざと身体避けずに突っ立ってやがるな」なんて思っても、まぁいっか、とすぐに思ってたものです。

ヤーくんとは普段身長が同じせいもあり、見付けるとすぐ肩を叩きたくなる私ですが、彼は嫌な顔ひとつせずいつも笑顔でにこにこと笑ってくれるのですき。
無表情な子のギャップに弱い私ですが、やっぱりいつも笑顔な子にだって癒されます。


最近は癒しを求めているのか、ヤーくんの顔が見たくなることが多い。
けどそんな時に限って会えない。(笑)

要するに、ちょっと人肌恋しいんですよね。

拍手

2013/06/02/Sun
今回はハイペース。
朝っぱらからこんな夜みたいな内容アップするのは気が引けますが・・・・・・アップしてすみません。

------------------------------------------------------------------------

 今日の帰りは久々にジムにでも寄って行くか。と思ったことなんてまるで忘れてしまったかのように俺は単車を置いて、電車に乗った。雨の所為になんてするつもりはない。確かに雨が降らなければ単車に乗って、家からも駅からも微妙に遠いジムへ行ったかもしれないが、そういう場所を選んで入会したのは俺自身。自分の性格は己が一番よく知っている。だから、雨の所為になんてするつもりはない。悪いのはサボり癖のある俺なのだ。それに、ジムにはちょうど同時期に入会した、読めない名前の女の子がいるのだが、その子がほぼ皆勤賞並みに通っているのが入り口前の名簿で判ってしまって少し行きづらい。ジムのトレーナーは元プロボクサーで、俺の通っている場所はボクシングジム。最初は俺の方がパンチにセンスがあるような気がしてたものの、練習量の圧倒的な違いからあっという間に差がついてしまった。俺はあまりに行かない所為で型なんて毎回忘れてしまって、常に一からやり直しているようなものだ。全然、前進しない。それよりも、なぜあの子はあんなに頻繁にボクシングなんかに通っているのだろう。あれはきっと、会社を定時で上がったら毎日ジムに足を運んでいる様子だ。暇なんだろうか。いや、そんな単純な理由じゃないはず。あれだけ時間を潰しているということは、きっと彼氏なんていないんだろうな。もしかしたら、恋人と別れた腹いせにサンドバックを殴ってすっきりしているのかもしれない。なんて、邪推して遊んでしまうからダメなんだろう。
 普段電車を利用しないもんで、駅前にあるレンタルビデオ店に足を運ぶこともめっきり減っていたが、今日、久々に店内に入った。何年も前から変わり映えのない内装。唯一、変わっていることと言えば、新作アーティストのポスターくらいか。それも、雛型が同じ所為で結局変わり映えしないのだが。
 十八禁の暖簾を潜るのも、実に久しぶりだった。そして俺は、すぐさま女優名で末尾の方の棚に目を走らせる。よしだ桃花は、すぐに見つかった。セーラー服でコスプレをしているパッケージがやたら目立つ。「もしも僕の彼女がよしだ桃花だったら」のタイトルは平置きにされており、新作シールが張られていた。巨乳を強調するような襟ぐりの広いTシャツを着て、ホットパンツを穿いて部屋に座る彼女が、きょとんとした瞳でこちらを見つめている。ロリ顔と言われるだけあって、確かに顔つきは幼い気がした。細めた奥二重に、肩にぎりぎり掛からないくらいの黒髪ショートボブ、適度な厚みのある下唇。特別美人というわけでもなかったが、素朴なかわいらしさが感じられる。
 俺はそのパッケージを手に取り、裏返した。裏面にはお決まりの、下半身に訴えかける過激な映像サンプルがいくつか載せられていて、裸で絡み合う彼女と共に「声のない天使」の文字が躍っている。ふと、その他のタイトルに目を遣ると「声のない天使~AVデビュー」の文字が目に留まった。表紙には、よしだ桃花十九歳、とある。七年も前からこんなことしているのか、と不審に思って裏を捲ると、二年前の日付が印字されていた。やっぱりな。よしだ桃花はいま、二十一歳なんだ。土師洋子は二十六歳なんだけど。
 暫く何本か物色したが、結局そのままデビュー作と最新作の二本をレンタルして店を出た。アダルトビデオを女優名で選んだのなんて、これが初めてだ。今までの俺はもっぱら素人ものに拘っていて、それ故にナンパ系や面接モノ、痴漢やレイプ作品ばかりを物色していた。出演している女優の顔や名前や、もっと言うと人格なんか気にしたこともない。AVはヌければそれでいい。だから極力、ワザとらしい設定も、喘ぎ声も、無い方が好みだったのだ。今までなら今回借りた恋人設定モノなんて全く眼中にない類いの極みだった。今日、桃花を見るまでは。
 家に帰ると、ちょっと特別な気分で環境を整え始めた。布団の周りに脱ぎ散らかした衣類を洗濯機に放り込み、空になったペットボトルを流しに持って行って、枕のカバーを裏返した。普段こんなことしないのに、何でそんな気分になったのか。喩えるなら、初めて女の子の友人を部屋に招き入れるときみたいなものかもしれない。そうして新しいボックスティッシュを枕元に用意し、部屋の明かりを落としてDVDの再生ボタンを押した。
 ワザとらしい甘ったるい声に、無理な設定のある演技。そういったものが嫌いで、見ても二秒で早送りをしてきた俺が、今回は最初から最後まで一度も早送りをせずに真剣に画面の中の彼女を見守った。そう。文字通り、「見守る」つもりで見ていた。声を出さない、言葉を持たない桃花だから、ちょっとした表情の変化や肌の動きが異常なほど目に付いて、気になった。偶に彼女の口から洩れる吐息は、他のどんな卑猥なセリフよりもエロちっくに耳の鼓膜と下半身を揺さぶる。何で彼女はこの業界に足を踏み入れたんだろう。食い扶持に困っていたのか。やっぱり職にあぶれてしまったのか。はたまた、吃音の治療費に充てるためだとか。それとも、家に借金でもあったのだろうか。きっかけは何だったのだろう。スカウト。それとも自分で応募して。もしかしたら、設定なんかじゃなくって本当に声を無くしてしまったんじゃないだろうか。このセックスはきっと全部ニセモノなんだろうけれど、彼女の音のない声がホンモノのような錯覚を起こし出す。
 うっすらと、潤んだ彼女の瞳を見ながら、俺は右手の中で果てた。ごろん、とベッドに横になる。肩で呼吸をしながら、何だかちょっとだけ、切ない気分になった。虚しいわけではなく、切ないのだ。胸が締め付けられるような、この感じ。これって、何かに似ている気がする。そう。恋、みたいな。
 思った瞬間、自分で笑ってしまった。いま、判った。アイドルやAV女優のファンになる人の感情が。そうなんだ。こういう男心を利用してるんだろう。俺は、よしだ桃花の力になってやりたい、と思ったのだ。あくまでも、上から目線で。でもそれは、握手会に足を運んだり、イベントに参加したり、リリースされた作品を購入したりするしかない。そしてこれは、土師洋子に対する感情とは別次元のところにあるものだと俺は知っていた。昔、同級生だったらしい彼女に恋心を抱く可能性は、限りなくゼロに近い。
 呼吸の乱れが収まってきて、丸めたティッシュをゴミ箱に投げた。ちょっとだけ、地元のことを思い出した。今度の休みは久しぶりに実家に顔を出してみようかな、なんて思考がふと浮かんだ。

------------------------------------------------------------------------

この物語は、とにかく「日常」を書きたかったもので・・・
1話で旧友との再会、2話で職場、3話で一人暮らしの家、みたいな感じできてます。
オ○ニーシーンですみません!!!

でも、こんだけリアル描写をせずに、エロさゼロで長々とオナシーン書いてる小説って他にあるだろうか?
なんて、変なところで自画自賛(?)してみたり。(笑)

まだもう少し、続きます。

拍手

2013/06/01/Sat
寝てしまいました。信じられないことに。

この3日間ほど、仕事が飛んでしまいヤル気が失せてしまった気持ちを引きずっています。
こんなことじゃダメだなぁーと思うのですが、何もやる気がです。飯も食ってません。

今日はいろいろ予定を入れていたのに、全部ブッチしてしまいました………
怖くて手帳見てない。何の予定入れてたっけ。

自分のドッペルゲンガーに語り掛けるヘンな夢を見ました。白昼夢。
10年前、学生時代にひとりで住んでいた頃のアパートに、別の友人とルームシェアしている設定で、何故か米櫃にカマキリが大量発生し、同居人と対処に終われるという夢と、
今の同僚と警察官として夜の町を巡回しに行くという意味不明な夢を見ました。


学生時代にルームシェアしてた子と米虫の大量発生について困ったことはあったんですけどね。

何でこんな夢を見たのかは謎。

今日は模様替え大会の最終日の予定でしたが、1日寝て潰してしまったので、今から近所の居酒屋にでも飲みに行こうかなぁ。

拍手

2013/05/31/Fri
約一ヶ月ぶりの文章能力リハビリ小説、第2話。(ホントはもっとハイペースで仕上げたい・・・)
ダラッとはじまりはじまり。

------------------------------------------------------------------------


 フォークリフトの腕には密かに自信がある。社内フォークリフト選手権、なんてものがあったとしたら、三位以内には食い込めるくらい。なんせ、出勤してその日の作業メニューが「貨物積み下ろし」だった日には、自己タイムベストを更新できるよう己との闘いをしているくらいだ。如何にバランスよく、多くの積荷を一つのコンテナに乗せることが出来るか。それでいて勿論、素早さと正確さも計算に乗せる。そうして作業の終わりに記録シートに記載した数値を見て、内心ほくそ笑むのだ。どのページを捲っても、誰も俺の作業時間と積荷重量のバランスの良さを超えてはいない、と。
 けど、こんなことは競うものではないし、給料は単位時間で出ているものであって、歩合制なわけではない。査定にも業績にも響かないし、誰も褒めちゃくれない。これは単なる自己満足であって、得をするものではないのだ。どちらかといえば、同じ時間内、出来るだけ仕事をせずに時間を潰して定時で帰れるかという術を身に着けた方が賢いのかもしれない。
 それになんだか、最近貨物積み下ろし作業ばかりやっている気がする。もしかしたら勤務担当者に俺の仕事の効率の良さを見抜かれていて、集中的に同じ作業に充てられているのかもしれないし、単なる偶然かもしれない。いや、悪いように考えれば、他の仕事はこいつには任せられない、貨物積み下ろしの単純作業ぐらいしかやらせる能力はない、なんて思われているのかもしれない。だとしたらこんな自己記録更新なんて呑気なことをやっている場合ではない。
好きと得意は別物なのだ。フォークリフトを扱うことは得意だけれど、こうやって余計なことを考える時間が生まれてしまうのは単調作業ならではのことであって、正直あまり好きではない。余計なことなんて考える暇もないくらい頭をフル回転させなきゃなんないような作業の方が、一日の労働時間は感覚的に短くて、直ぐに帰路に着けるような気がする。
 これは、マラソンにも言える気がした。マラソンはよく人生に喩えられるけれど、誰のためにもならない、ただただ苦しいだけの時間を過ごすことはまさに己との闘いなわけだ。走りながら、自分はなぜ今ここにいるのか、なぜ市民マラソンになんて参加すると言ってしまったのか、異常に息が苦しいのは普段煙草を止めれないからなのか、ハジヒロコがAV女優になった理由はやっぱり普通の就労に就けなかったからなのか、ていうかサトナカとは一緒のクラスになったことないのに何で今俺は奴の誘いに乗って走っているのか。
 なんて思考が堂々巡りになって頭の中を渦巻いた。ゴールまでが異様に遠くて、永遠に終わりなんて来ないような気さえする。フォークリフトも、マラソンも。
「ダイスケ兄さぁーん」
 単調作業を黙々と続けていたら、ダラっとした声に呼ばれて意識を取り戻した。
「貨物の検品したいんスけど、コンテナがデカイんで中二階まで運ぶの手伝ってくれません、」
ジトっとした潮風が肌を舐める。レバーを停止位置に留めて振り返ると、俺と同じ濃紺の作業着を着た崔泰佑が貨物倉庫の端に違法増築した中二階の検品場を指して待っていた。
「貨物はどれ」
「C-5エリアに置いてる、あれっす」
 フォークリフトから降り、崔に付いて歩きながら奴の指す方に目を向けると、やたら奇麗なシルバーの箱が視界に入った。コンテナと言っても船に搭載させるためにウチみたいな輸出業者が作った、量産型で会社ロゴ入りの古びた箱とは全く違う。荷主が商品配送のため専用に作ったボックスだろう。コンテナの両端にはご丁寧に取っ手までついている。ちらり、と隣を歩く後輩を見遣る。手には何も持っていない。嫌な予感がする。
「……チェ氏、どうやって運ぶつもりなん、」
「え、兄さんと二人でハンドル持って階段上ろうかと」
「アホかお前、婿入り前の俺の腰を砕く気かッ」
「大丈夫っすよ、大した大きさじゃないし」
 とは言っても、一見したところ高さ一メートル弱、長辺も三メートル程度は軽くある。溜め息が出そうになった。
「何のためにお前らにクレーンと玉掛けの技能講習行かせたと思ってんねん。ええからラッシングベルト五メーター二本、今すぐ持って来いや」
「ええっ、俺、運転自信ないっスよ」
「俺がやる。お前は監視員でもしとけ」
 今やらないで、いつやるのだ。せっかく取った資格も、使わなければこうやって錆びていくというのに。
 工具室へ走る後輩をわざとしかめっ面で見送ってから、倉庫の天井を見渡した。西の大扉は開け放しにされていて、目前の港からは文字通り肌に纏わり付くような多量の塩分を含んだ空気が流れ込んでいる。梅雨入りはまだのハズだが、ここらの空気はみな湿気臭い。もちろん倉庫内に置いてる工具や車輌もすぐ錆びる。けど、潮のにおいは案外心地いい。大阪の海は臭い、なんて言うけれど街からだいぶ外れたこの辺りの海は泳げるくらいキレイなもんだ。
 上を向いて暫くきょろきょろ視線を泳がせていたら、天井クレーンの本体とその脇からケーブルで地上近くまで長く伸びたリモコンの所在が掴めた。北の壁際に寄せて停められている。ベルトを持って戻ってきた崔にハンドルから掛けるように指示し、俺は操作盤の電源を入れてリモコンを引っ張った。
 後輩の手前偉そうな事を言ったものの、正直、クレーン操作は久しくやってない。一年ぶりくらいか。普段あまりにリフト車ばかり乗っていたせいか、こういうゆっくりとした動きに合わせなきゃならない機械は苦手意識がある。崔だってたぶんそれは同じで、だからリスクを避けたがったのだ。リスクを伴うのは何でも同じことだが、クレーン操作は失敗すると積荷が高所から落ちることになり、大災害を招きかねない。だから慎重に、ゆっくり、ゆっくり、操作する。いつものリフト車みたいにタイムを競ったりはしない。監視員をやっている崔の、オーライ、の声に合わせて、ゆっくり、ゆっくり。
「よし、一服行こう」
 無事、中二階の検品場の床面にコンテナを降ろしたところで即行言った。内心、ほっと胸を撫で下ろす。何事もなくてよかった。
 横にいる崔は何の疑心も抱かず当然の結果のように一連の流れを見ているようだが、こういうのを変な自信にしないで日頃からもっと練習しておかねば、と誓う。
 とは言いつつ、喫煙所に入ると先輩風を吹かして説教モードに入ってみる。
「ほらな、クレーン使った方が楽で速いやろ。あれ、人力で運んでたら今頃まだ階段の途中で、登り切る頃にはギックリ腰発症確実やで」
「そうっスね。すんません。これからは日々、精進するようにします」
 反省しているのかいないのか、いつもの単調な口調に頭を下げて、崔は煙草に火を点けた。左手に持った銘柄は黄土色のベースに緑色の縁取りが入っている。わかば、なんて若いくせにオッサンみたいな煙草を吸う。
「そう言えば大佑さん、もうすぐ結婚するんスか」
「はァ、」
 突拍子もないことを突然言われて、思わず手にした煙草を落としそうになった。
「何で。誰がそんなウワサ流してるん、」
「いや、さっき自分で言うてましたやん、婿入り前の腰が……って。近々、ご予定がありはるんかなぁーと」
「あるわけないやん。彼女すらおらんのに」
「ですよね」
「あ。お前、知ってって言うたな、この」
「大佑さん、クラブ、行きません、」
「お前は所構わず話題を打ちまくる男だな……」
「クラブ行ったらモテますよ。ええオンナも結構いてるし」
 さっきまでの何考えてるのか読めない無表情とは全然違う。明らかに顔に生気が宿っている。そういえば以前、崔の彼女はクラブで出逢ったとか言っていた気がする。
「いや、遠慮しとくわ。俺、人見知りやし。そういうの面倒臭いし」
「そういうの、って。クラブですか」
「いや、オンナの方」
「何でですか。じゃあ、大佑兄さんの好みのタイプってどんな娘ォです、」
 今日はやけに食い下がってくる。奴の恋愛事情に、何か有ったのかも知れない。
「好みのタイプっつってもなぁ……。チェ氏の彼女はどんな子やっけ」
「こんな子です」
 待ってましたと言わんばかりにすぐさまスマートフォンを取り出し、画面をこちらに向けてきた。中央にはBーBOY風の出で立ちをした崔と、その横にやたら胸が開いた細身のジャケットに身を包み眼に黒い縁取りをした若い女が写っている。要するに、巨乳の若いギャルが好みらしい。
「俺の好みは貧乳で素朴な年上の人かな」
 わざと正反対のタイプを言ったみたいだ、と思った。そんなつもりはなかったんだけど、崔の彼女の写真を見たら不意にそう思ってしまったから仕方がない。
「熟女ですか……」
 頭を捻り唸るようにして崔が言う。
「ちょっと待て。年上がええとは言うたが、熟女がええとは言うてへんぞ」
「でも兄さんより年上ってゆうたら、AVでは熟女コーナーになりますよ。人妻カテゴリーは、二十六からですしね」
「そうか。俺、熟女好きやったんか……。勉強になったわ」
 てことは同じ二十六歳の俺はもうオッサンですよ、って言われているようなものかもしんない。ふと、接骨院のセンセイに言われたセリフを思い出した。もう若くないんだから、ってやつ。本心としては二十代半ばなんてまだまだ若者の気分ではあるが、実際体力の衰えは感じるし、ギックリ腰は気にしなきゃなんないし、同級生は結婚してるし、やっぱり年なんだろうか。
 そんなことを気にしているから、マラソンにだって参加したし、ジムにだって通っている。そうだ。今日の帰りは久々にジムにでも寄って行くか。せっかく加入したのに、実はあまり通えていない。月額制ではなく一回五百円の回数券制のコースを選択した所為か、サボり癖が付いてしまった。いや、サボり癖があるのは昔からなんだけど。
「AVと言えば」
 え、と崔が顔を上げる。ハジヒロコ。彼女のこと、こいつは知っているんだろうか。名前は何て言ったか。たしか、
「よしだ……」
「よしだ…吉田みるく、芳田チアキ、よしだ桃花、」
「そうそれ、よしだももか」
「桃花じゃ兄さんの好みとは離れすぎてるでしょ。巨乳で童顔だし」
 そうなのか。でも年は俺と同じ筈なんだけど、と思ったが言わないでおく。もしかしたら、年齢はサバ読みしているかもしれない。
「あ、でも、」
 ふと思い出したように崔は顔を上げた。そして、ニヤリと笑う。
「判りますよ、萌えポイントは合ってそうですよね」
 何のことやらさっぱり判らないが、崔は勝手に納得してしまった。どういう意味やねん、と聞けばいいんだろうけど、俺はすぐさまスマートフォンを取り出す。百聞は一見に如かず。現代人の悪い癖だ。
 字が判らないので平仮名でフルネームを打ち込むと、予測変換で漢字が出てきた。結構有名なのかもしれない。検索結果の文字列には、巨乳・ロリ顔・女子校生、といったキーワードの他に、同じキャッチフレーズらしきものが必ずヒットしていた。
 声のない天使。
 なるほど。吃音を逆手に取らず、声自体を無くしてしまった設定にしたんだ。喘ぎ声をあげない女優、っていうのは珍しくていいのかもしんない。我慢してるとか出さないわけではなく、「出せない」ってのがいいのだろう。この声によって彼女がどれだけ苦労したかとか悩んだかなんて、画面越しに射精する男たちにとっちゃこの手の職種によくある不幸要素であって、同情心を得るにはちょうどいいくらいだ。つまり、征服感と優越感を煽る香辛料でしかない。真実なんて、何だっていいのだから。
「桃花の新作、もし僕シリーズみたいですね」
 何故か崔も自分のスマホで調べている。もし僕、と言えば「もしも僕の彼女が××だったら」という普通の恋人シチュエーション、ノーマルセックスのシリーズで、男優は殆ど出てこずカメラアングルが画面越しの恋人=自分、という設定のものだ。
「今夜のオカズにするわ」
 画面から視線を外すと、窓の外は雨が降り出していた。
 灰になった煙草を灰皿に押し付けて、俺は喫煙所のドアを開けた。


------------------------------------------------------------------------

今回は職場なシーン。
同僚後輩の名前、崔泰佑は「チェ・テウ」と呼んであげてください。
主人公は「チェ氏」というあだ名で呼んでいます。←この呼び方は実は私の職場でもやっている。主に、年長者が後輩に対して苗字+氏を付ける、という呼び方。

ちなみに「吉田みるく」というのは実在する私の友人(男・俳優)の芸名です。(笑)


まだ、続きます。

拍手

2013/05/30/Thu
弁当を持ってくるの忘れました。

割りとやってしまいます。


冬なら帰ってから食べれますが、この時期は危険なのでもう食べれない……勿体ない。残念です。

せっかく弁当にきれいに詰めたのに。バカすぎ。(苦笑)

拍手

2013/05/27/Mon
昨日。

職場の機器のメンテで音楽を流すチェックがあったんですが。

デモテープを準備しに行ったときに「今日び、カセットテープって!!四半世紀前の代物やん!」と吹き出しそうになりました。。。

今どき、CDでもMDでも古いし、メモリにダウンロードな時代ですよ?

でも、カセットテープには「2013年5~7月用オンエア分」などと書かれていまして。

100年前から変わらないエンジン構造なだけあるなー、とヘンなところに感心。

レコードじゃなく、そしてテープ自動巻き戻し機能搭載なだけ、当時は最新だったんじゃねーの?と先輩は言ってました。

拍手





ブックマーク

月嘩
サワムラの主催する小劇団…のはず。2012年に旗揚げ公演を行い、2014年現在、5月公演に向けて準備中。

きょう
サワムラの創作サイト。主に小説を公開中。更新頻度は亀。

蛙鳴蝉噪
コミックシティ参加時の我がサークルの情報サイト。
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
[02/19 サワムラヨウコ]
[02/03 サワムラ]
[02/02 高瀬涼]
プロフィール
HN:
サワムラヨウコ
自己紹介:
二十代半ば(から始めたこのブログ・・・2014年現在、三十路突入中)、大阪市東成区出身。
乗り物の整備をしている、しがないサラリーマン。
3度の飯より睡眠、パンクなライブ、電車読書、などを好む。
この名前表記のまま、関西小劇団で素人脚本家として細々と活動中でもある。

1997年頃~2006年ごろまで、「ハル」「サワムラハル」のHNで創作小説サイトで細々とネットの住民してたがサーバーダウン&引越しによるネット環境消滅が原因で3年ほど音信不通に。。。
あの頃の自分を知っているヒトが偶然にもここを通りかかるのはキセキに近いがそれを願わずにはいられない。
バーコード
カウンター
アクセス解析
Design by Nijiko [SUCUREなオカメインコ]
忍者ブログ [PR]