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現場仕事と仲間のこととか、たまにイデオロギー的なことをつれづれに。 読んだ本、すきな音楽やライブのことだとか。 脈絡無く戯言を書き殴る為の、徒然草。
2024/05/19/Sun
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2010/11/29/Mon
 全てが、性欲という衝動だけで終わらせてしまえたらどんなに楽だろう。
 盲目になれるくらい、恋という感情に溺れられたら、世界は輝いて見えるだろうか。
ぼんやりとそんなことを考えながら、カヨを見ていた。パンティ一枚だけ身に纏った姿でベッドに座り込み、ブラジャーのホックを掛けようとしている。彼女はこちらに背を向けて、脚をちょこんと折り曲げて座っている。シーツの波間に脚が見え隠れして、ベッドは静かに沈んでいて、この空間を揺るがしてはいけない気がしたおれは音を立てないように静かに呼吸をした。
 窓から漏れる月明かりとも街灯ともつかない僅かな灯りが彼女の身体の輪郭を映し出し、ちょっとはっとするくらい美しい光景だな、と思う。
「……着けてあげるよ」
 手がもつれて上手く出来ないカヨの背中に回り、ブラジャーのホックに手を掛けて合わせた。
「ありがと」
 バツの悪そうな声。けど、恥じらっているようにも見える。さっきまで、お互い裸で抱き合っていたのに、今更なんだけど。
 誰かと繋がりたい。
 そう、強く想うときが時々あった。そんな時は、カヨがいてくれてよかったと心の中で感謝する。
 心にぽっかりと穴が空いたような、何処か満たされない気持ちに不意に襲われるのだ。こんなことは、生きていればきっと誰にでもあることだから、原因がなんなのかなんて突き止める気は毛頭ない。
 けど、こんな時に抱き合うのは勇気が要った。
 繋がりたい気持ちが空回りして、決まって上手くはいかないのだ。早く繋がりたい、快楽を得られるようにしなきゃ、このわだかまりのような空虚感をぜんぶ体内から吐き出してしまいたい。
それが叶うのは、セックスが終わる瞬間だけだった。
その一瞬が過ぎ去ってしまえば、また元に戻ってしまう。下手したら、以前より悪い状態にまで落ちてしまうような気さえした。だから、出来るだけ体力を消耗しきって、全て忘れて無になりたかった。疲れ果ててしまえば、後は泥のように眠ってしまえばいい。目覚めた時に見る朝日は、新しい可能性を感じさせてくれるから。
「ねぇユキ、聞いてる、」
遠くで誰かの声が聞こえた。カヨの声だろう。その呼び名でおれに語り掛けてくれる声は、心地いい。心地よくて、すきだ。
彼女は何かを云っていたが、脳が虚ろで聞き取れない。辛うじて薄目を開けて見ると、キャミソール姿の小柄な女の子が見えた。
それが一瞬、サチ姉に見える。いや、違う。ここにいるのはおれの恋人のカヨ。そんなことは判っているのだ。
けど、夢と現つの区別が付かなくなってきている。目の前の女性が呼び掛ける。母親のようにも見える。遥か遠くで近くに聞こえる声が、ユキ、ユキちゃん、と云っている。ユキちゃん、ユキちゃん、ユキ。
そうだ。
 いま急に、ぜんぶ判ってしまった。
こんな気持ちになる原因は、あなたが作ったんですよ。


○ ◎ ○


「あいを確認する行為」

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あいを確認~拝読!
衝動~と思い遣り~と読ませていただきました。恋人たちはセックスのときに何を考えているのか。このカップルの場合はどこか冷めているようですね。夢中になって何も考えられない二人もいるとは思うのですが身体のあう、あわないもあるかもしれません。気持ちの合致も比例するのか…だってユキさんにはサチという女性の影が!誰だ!
ベッドで愛し合うことが全てではないですが、愛を確認する行為は他にどうすればいいのでしょうね。この二人はどこかですれちがっている気がします。
また続き楽しみにしてますね。
高瀬涼 2010/12/02(Thu)22:20:58 編集
>高瀬さん
いつも丁寧なコメ頂いてありがとうございます!

言葉の調子や態度やノリを合わせていても、案外心ってのはすれ違っていて、なかなか重ならないものだと思っていまして、こういう書き口になりました。
私は自分のいる環境のお陰で男性サイドのセックスの時の心情わ聞くことも結構あったり、そして女友達の心情を聞くこともあったりで、イチカップルの双方の意見を聞いたことはさすがにないですが、割りと温度差が激しいのがセックスの時なんだなぁ、という印象がありましたので。
じゃあ、愛を確認できるのはどんなとき? いつ? どういう仕草で実感できるの?

そんな哲学に近い話を男の子と夜中延々語り合ったことがありました。そんな語り合いを、描いてみたかったのです。

また高瀬さんのブログに、新たな感性の触発されに行きますね☆
サワムラ 2010/12/05(Sun)13:54:37 編集
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二十代半ば(から始めたこのブログ・・・2014年現在、三十路突入中)、大阪市東成区出身。
乗り物の整備をしている、しがないサラリーマン。
3度の飯より睡眠、パンクなライブ、電車読書、などを好む。
この名前表記のまま、関西小劇団で素人脚本家として細々と活動中でもある。

1997年頃~2006年ごろまで、「ハル」「サワムラハル」のHNで創作小説サイトで細々とネットの住民してたがサーバーダウン&引越しによるネット環境消滅が原因で3年ほど音信不通に。。。
あの頃の自分を知っているヒトが偶然にもここを通りかかるのはキセキに近いがそれを願わずにはいられない。
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