いつの時代でも少女漫画のヒロインは、多少強引で、ちょっとミステリアスな雰囲気を持った男の子に憧れを抱く。
あたしが彼に最初に興味を持ったもの、同じだった。
少し女性っぽい、物腰柔らかな対応と口調で喋る彼の中に、陰を見付けたからだ。その、陰、が何なのかは探る気もなかったし、訊かなかった。禁忌に触れてしまうことかもしれない、と心配したからではない。もしかしたらそれは、本人も気付いてないところで出てしまっている部分だったかもしれないし、正直その内容が何なのかなんてどうでもよかった。ただ、あたしを愛してさえいてくれれば。
「ねぇ、」
猫なで声を出す。恋人にだけ聞かせる、甘えた声。
「お昼ご飯、何が食べたい」
頭の悪そうなぶりっ子丸出しの声を外で出しても、彼は厭な顔ひとつ見せない。それどころか手を腰に回してきて、カヨが食べたい、なんて云ってのける。
「もう。人が見てるってば」
腰に回した手が尻に下りてきた辺りでピシャリと放つ。社交辞令のような、一応の膨れっ面を作って。彼は穏やかに微笑む。そうやっていつも、あたしたちはバカップルの様に振舞う。
「パスタが食べたいな」
デートでランチといえば。と思い付くことを云う。絶対彼は反対しない。それでええよ、カヨの行きたいとこ行こう、って云うに決まってる。お昼どうする。来週の休みは何して過ごす。何の映画観たい。何を聞いても彼は必ずあたしの意見を伺って、それに同意してくれることが解っているから。
彼は優しい。
最初は、そう思ってた。単純に。莫迦みたいに。
○ ◎ ○
ものがたりの続きが続いていませんが、また別のタイトルでお話を。
このお話は「ウソツキと鈍痛」という書きかけの物語の女の子視点のお話。
沢村のすきなテーマである、セックスと恋愛に関する事柄について、掘り下げてみよっかなーと思いまして、ピックアップ。シリーズのタイトルは↓
「あいを確認する行為」
月嘩
サワムラの主催する小劇団…のはず。2012年に旗揚げ公演を行い、2014年現在、5月公演に向けて準備中。
きょう
サワムラの創作サイト。主に小説を公開中。更新頻度は亀。
蛙鳴蝉噪
コミックシティ参加時の我がサークルの情報サイト。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
乗り物の整備をしている、しがないサラリーマン。
3度の飯より睡眠、パンクなライブ、電車読書、などを好む。
この名前表記のまま、関西小劇団で素人脚本家として細々と活動中でもある。
1997年頃~2006年ごろまで、「ハル」「サワムラハル」のHNで創作小説サイトで細々とネットの住民してたがサーバーダウン&引越しによるネット環境消滅が原因で3年ほど音信不通に。。。
あの頃の自分を知っているヒトが偶然にもここを通りかかるのはキセキに近いがそれを願わずにはいられない。