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現場仕事と仲間のこととか、たまにイデオロギー的なことをつれづれに。 読んだ本、すきな音楽やライブのことだとか。 脈絡無く戯言を書き殴る為の、徒然草。
2024/11/25/Mon
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2010/11/27/Sat
 だれだって自分勝手なんだと思う。
 だから、気にも留めたこと無かった。アオイの言葉を聞くまでは。
「え、もっかい云って。カヨちゃん今いくつだって、」
「……女性の年齢を何度も聞くなんて、失礼だとは思わないの」
 あからさまに不機嫌な声を出しながらあたしは小さく、ニジュウサン、と答えた。
「だよねぇ。じゃあ、二十三年間、オーガニズムに達したこと無いんだ」
 云った傍から大声でニジュウサンと口にされ、怒る気も失せてしまった。しかも居酒屋といえど、堂々と隠語に近い言葉を発する。アオイにはデリカシーという概念そのものがきっと無いんだろう。そんな男に配慮を求めるだけ無駄だ。
「じゃあさぁ、アオイくんは彼女の反応とか気にしながらエッチしてるわけ。自分本位な快楽に浸ってないって、断言できる、」
 出来ないでしょ。と決め付けて掛かると、意外にも彼は、出来るよ。と即答した。
「俺ね、イキにくい体質なんよねー。だから、彼女に気持ちよくなって貰うことにいつも全力投資してんの。男は射精したら終わり、だなんて思ってたでしょ」
 意地悪な笑みを湛えながら、アオイはテーブル越しのあたしの顔を覗き込んでくる。言い返す言葉も無く黙り込んだあたしの前で、彼は右手の指をくねくねと動かす。
「ちょっと、その指の動きヤラシイ。やめてよ」
 生娘ぶるなよ。と時化た面をして手を引っ込める。
「で、本題だ」
 急にアオイが真面目な声を出した。
「カヨちゃんは、何が不満なの。今のカレシに」
 思わず、息を飲んで彼を見ると、ばっちり目が合った。黒い伊達眼鏡の奥の、意外に大きなアオイの目が細くなる。
「桧山モータースの食堂で働いてる、若い男だったよね」
 前に、一度だけ云ったことがある。あたしが付き合っている男の子の話を。それを、アオイは覚えていた。
 アオイは同じ派遣会社に登録しているバイト仲間だ。ずっと年上だと思っていたけど、最近知った年齢はあたしと同い年で、バイトで食い繋いでいるフリーターらしい。いい年して専門学校に行きなおしているあたしのことを、カヨちゃんは偉いわ。などとよく持ち上げた。
 派遣会社から来る仕事は何パターンか合って、あたしはよく桧山モータースという自動車整備工場の部品洗浄係りのバイトに当たっていた。「彼」は、そこの工場の食堂で調理師をしていた。
 食堂、といえば、オバチャン、というイメージが先行するように、実際働いているのはパートらしき中年の女性が大半の中、ひとりだけ若い男の子が混じっていた所為で直ぐに顔を覚えてしまった。向こうも向こうで工場という職場柄、若い女の子のバイトが少なかったお陰か、覚えてくれていたらしい。
 そんな出会いの中、交際はスタートした。
 彼が、何故あたしに惹かれたのかなんて、深く考えたことはなった。単に少ない出会いの中で現れた女の子があたしだったんだろうな、という程度でぼんやりと思ったことがあるくらい。
 あたしはというと、食堂にぽつんと浮いた存在のように居る彼が、とっても飄々と仕事をしていて、喋りかけたときに見せる笑顔の奥にある、どこか淋しげな眸にとてつもなく惹かれてしまったからなんだけど。
「不満なんて、無いのよ」
 確認するように、言葉を噛み締めながら云った。
「ただ、何を考えてるのか時々判らなくなるの」
 あたしの云うことには逆らわなくって、いつでも従順で、笑顔で愛してくれている彼が、表面上の仮面だったとしたら。
 そんなことを考えてしまうあたしは、不届き者なんでしょうか。
 だってこの半年間、彼の意見を、彼の言葉で聞いたことが無いって事に、気付いてしまったのよ。
 ほんもののアイなんて、信じてるほど子供じみた恋愛をしているつもりはない。セックスに、愛の理論を持ち込むほど白けた女じゃない。でも。
 最低限の愛情は、備わっていて欲しいと願った。今回は。
「矛盾してるよね、カヨちゃんて」
 アオイは考えながら云った。
「だって、彼に惹かれたって云ってた最初の理由、思い出してみなよ」
 思い出しながら言葉を選んでいるのはアオイだった。あたしはアオイが何を云おうとしているのかなんて、最初から判っていた。
「何を考えているのか判らないところが、ステキだって云ってたでしょ」
 覚えてるよ、そんくらいのこと。


○  ◎  ○


「あいを確認する行為」


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お、シリーズ化するんですな。
「あいを確認する行為」続いたりするんですね。テーマはセックスと愛についてですが、これは掘り下げるのが難しいものを。サワムラさんは男性と接する機会が多いし男性でわけられることも(え、そんなこと言ってない?)なんておっしゃってましたが、小説の面からすると愛について色々考えている女性らしい面が見え隠れします。あと、心の描写が丁寧です。この話もカヨちゃんの悩みともいえない悩みがまるで本当の心の声のように綴れられていておもしろいです。人物の設定もリアルですね。社員食堂で働いている彼と派遣の私、なんですね。派遣仲間のアオイは好感もてます。話しにくいネタをお店で話せる仲間はいいですね。女性と男性はセックスに何を求めるのか、韓国ドラマでそんな話がありましたが結局は相違なんてなくて肌で愛を感じたいはずなんですが、違うこともあり矛盾が生まれることもあるようですねー。
サワムラさんの大人で青春な物語、またの更新読ませて頂きます!
高瀬涼 2010/11/28(Sun)23:11:26 編集
>高瀬さん
そうなんです、続きます。続けています。
やっと。(笑)


掘り下げるのが難しいテーマだからこそ、自分勝手な解釈で書きたい放題に書きなぐりますよ☆
一般受けするかどうかなんて、考えません(爆)
一部の共感を得られるマニア層向けに思っていただければ。。。

女の子視点で綴っていくつもりが、もう挫折していますが、なんとかキリが来るまで(結論のようなもの)書こうと思います!

この意欲は完全に高瀬さんのブログを読ませていただいているお陰ですよ☆
いい刺激をいつもいただいています。ありがとうございます。
また、いつも踏み込んだコメントをありがとうございます!改めて発見させられております。

心理描写は細かめに書くのがクセでして…昔はあっさり書いて、読者の方の判断に委ねる、的なのがすきだったんですが、心理描写が細かい作家さんに感銘を受けて以来、影響されて寝返りました。

でも、読むのはどちらもすきです!

またそちらにも遊びに行かせて頂きます☆
サワムラ 2010/11/29(Mon)15:37:05 編集
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二十代半ば(から始めたこのブログ・・・2014年現在、三十路突入中)、大阪市東成区出身。
乗り物の整備をしている、しがないサラリーマン。
3度の飯より睡眠、パンクなライブ、電車読書、などを好む。
この名前表記のまま、関西小劇団で素人脚本家として細々と活動中でもある。

1997年頃~2006年ごろまで、「ハル」「サワムラハル」のHNで創作小説サイトで細々とネットの住民してたがサーバーダウン&引越しによるネット環境消滅が原因で3年ほど音信不通に。。。
あの頃の自分を知っているヒトが偶然にもここを通りかかるのはキセキに近いがそれを願わずにはいられない。
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