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現場仕事と仲間のこととか、たまにイデオロギー的なことをつれづれに。 読んだ本、すきな音楽やライブのことだとか。 脈絡無く戯言を書き殴る為の、徒然草。
2024/11/25/Mon
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2010/03/18/Thu

サワムラのこの声との付き合いは、4歳のときにある日突然はじまった。
この声は運命を巻き込んで、性格も趣味嗜好も人生も変えていくことになった。


先の尖ったフォークを突きつけて、彼女は云った。
「そんなに厭なら、これで声帯を切り裂きなよ。ほら、ノドに突っ込んでさぁ」


始まりは何だったか忘れた。
けど、4歳の誕生日を迎えてすぐの、冬の日だったことは覚えている。
手が震えて。云われたとおりに出来ないことが、悔しかった。
フォークは、眼前でギラリと光っていた。


声を失ってから数日。
自分の声が戻ってくることは無かった。
代わりに出るようになった音は、酷く掠れた低い声。


実家は自営業のため当時電話の取次ぎをやっていたのだが、この声の所為でお客がビビッて電話を切ってしまう事例が相次いだ。

彼女の考えた対策は、今考えれば滑稽。



年の離れたアニキが電話を受けていることにする。



私はそれから、架空の兄を受話器越しに演じることになった。
家を訪れたお客は、玄関から見え隠れする私を見て、「あら? お兄ちゃんは外出中?」などと平気で云う。
私は声も出さずに会釈するだけ。
だって兄は「私の声」なんだから。


しゃがれた声を持ってから、誰にも「女の子」として見られなくなった。


この声に似合うように合わせていってたら、言葉遣いや喋り方も段々ガサツになってきた。
この声で「わたし」と云うと笑われるので、自然に「おら、おれ」と云うようになっていった。
友人は男の子ばかりになり、ドスを利かして喋ればケンカになる。売られたケンカは全部買って、いつしか喧嘩番長になっていった。

見た目で判断されるようなことは、大抵は声で判断されることだった。

男の声で男らしく過ごすことは当たり前のことになっていたし、大抵は周囲もそういった対応だった。
クラスで男子の集団に属していても、女子からの批判を浴びることは全く無かった。
それはきっと、「オトコの中にいる女」ではなく「男みたいな女」として見られていたからだろう。
オンナの敵はオンナであって、オトコでは敵にはなりえないのだ。

誰も、人の内面なんて見ようとは思わない。
外見で判断するとは、まさにこのことだと思った。


年月が流れて。



孔の開いた声帯も治癒されたのか、はたまた年相応になったのか、単に慣れてしまったのかは解らない。
けどたぶん、今は普通の声を手に入れたんだと思う。
でも、この生き方を長年やりすぎていて、身に染み付きすぎていて、なかなか抜け出せない。


女の世界には今更入れないし、入りたいとも思わないのだが、疑問はある。


一体、オンナの世界ってどうなっているのだろう?




生涯、永遠のナゾだ。

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月嘩
サワムラの主催する小劇団…のはず。2012年に旗揚げ公演を行い、2014年現在、5月公演に向けて準備中。

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二十代半ば(から始めたこのブログ・・・2014年現在、三十路突入中)、大阪市東成区出身。
乗り物の整備をしている、しがないサラリーマン。
3度の飯より睡眠、パンクなライブ、電車読書、などを好む。
この名前表記のまま、関西小劇団で素人脚本家として細々と活動中でもある。

1997年頃~2006年ごろまで、「ハル」「サワムラハル」のHNで創作小説サイトで細々とネットの住民してたがサーバーダウン&引越しによるネット環境消滅が原因で3年ほど音信不通に。。。
あの頃の自分を知っているヒトが偶然にもここを通りかかるのはキセキに近いがそれを願わずにはいられない。
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