なんでこんな気苦労をしなくちゃいけないんだ。
急にふと、疑問が涌いた。俺は実は蚊帳の外であって、関係ないんじゃないかって思えてきたのだ。
確かに朋久は大切な友達だ。生まれたときから家が隣同士で、誕生日も二日違いでオマケに同じ病院で生まれたという、切っても切り離せない関係のような幼馴染みだ。ただ、俺は莉子ちゃんに恋心を抱いているわけでもなく、そもそも莉子ちゃんには彼氏がいるらしかった。
「何で、俺なんですか」
話を遮って、頭の中でぐるぐるしだしたことを口に出してみた。
え、と莉子ちゃんの説得も立ち止まる。何でって。少し考えるような、そして少し怒ったようにも取れる素振りを彼女はした。
「だって、あんたくらいしか居ないでしょ。あの子が認められそうな相手って」
そうかな。反発心を持ったけれど、口には出さなかった。肯定も否定もせず、いつものように黙り込む。
「協力してくれないの」
莉子ちゃんは急に淋しそうに言った。
「ねぇお願い。あたし、朋久とは……もっと言えば、種原家とは、ずっと仲良くやっていきたいのよ。その為だったら、何だってするわ」
淋しそうに聞こえたけれど、そのセリフには強い意志が宿っているんだなって判った。
判ってるけど、正直今の俺にはそんなことどうだってよかった。俺の、平凡で順調な毎日を崩そうとしてくる莉子ちゃんの存在が、正直煩わしいとさえ思えた。
「何でもするって」
自分でも驚くぐらい感情の無い声が出た。
「じゃあ、俺とセックスしてよ」
だって、そういうことでしょ。とでも言いたげな俺の言葉。別に、何も期待してなかった。年頃で童貞の男子高校生なら、誰だって興味があるだろうってことを言っただけだった。莉子ちゃんを困らせてやりたかったわけでもない。でも、これで諦めてくれるだろうと安易に考えていたのかもしれない。だから、予想もしてなかったんだ。こんな返事が、来るなんて。
「いいよ。それで始が、その気になってくれるなら」
月嘩
サワムラの主催する小劇団…のはず。2012年に旗揚げ公演を行い、2014年現在、5月公演に向けて準備中。
きょう
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乗り物の整備をしている、しがないサラリーマン。
3度の飯より睡眠、パンクなライブ、電車読書、などを好む。
この名前表記のまま、関西小劇団で素人脚本家として細々と活動中でもある。
1997年頃~2006年ごろまで、「ハル」「サワムラハル」のHNで創作小説サイトで細々とネットの住民してたがサーバーダウン&引越しによるネット環境消滅が原因で3年ほど音信不通に。。。
あの頃の自分を知っているヒトが偶然にもここを通りかかるのはキセキに近いがそれを願わずにはいられない。