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現場仕事と仲間のこととか、たまにイデオロギー的なことをつれづれに。 読んだ本、すきな音楽やライブのことだとか。 脈絡無く戯言を書き殴る為の、徒然草。
2024/11/24/Sun
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2012/04/05/Thu
※しぶといようですが、先に云っておきますけどこれは「オトメ小説」です。



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 久しぶりに遠足前の子供のようにわくわくした。仕事の一環だけど、出勤する場所はいつもと全然違う場所と土地。オマケに、寝泊りするのはシティホテル。そして頭も体力もたいして使うことの無い一週間。この条件を聞いて、喜ばずにいられるか。否、無理でしょう。
「課長、あのバカふたりを一緒に行かせて大丈夫なんですか」
 なんて纐纈さんに囁かれてしまったけど、そう云われるのも致し方ない。と我ながら思った。
 安全衛生講習受講のための、訓練出張六日間。近場でやっていないため同期の青木とふたり、特急列車に乗って他県へと男ふたり旅だ。普段身に付けることのないスーツに袖を通し、ホテルから教習所までの朝の通勤電車に揺られるのもたまになら悪くない。ってかむしろ新鮮だ。この、満員電車に揉まれている感じ。憧れたことは無かったけど、朝の通勤ラッシュ。これぞまさに働いてるって感じ。俺ってサラリーマンじゃん。と無意味にテンションも上がる。いつもは作業着のまんま独身寮から会社まで単車に乗って出勤している身分なもんで、通勤ラッシュとも渋滞とも無縁だから尚更だ。
「岩原、昨日晩飯の後何してたん、」
 青木とは毎朝、ホテルのロビーで待ち合わせして駅に向かった。もう三日目。電車の時間も覚えて余裕の出た俺たちは、一本遅らせても遅刻にはならないことを確認してまったりと歩く。
「特に。パチ行って、調子悪かったから結構すぐ帰って、部屋で映画観てた」
「あー、あれ、同じのずっとリピートしてんじゃん。俺見飽きたわ」
「でも観てんでしょ。なんか何回も観てると、笑えてこねぇ、」
「来る来る。『君のために、俺はこの命を捨てる覚悟だ』って云って飛び込むシーン。一回目は感動したのに、五回目になるとなんか笑えるよな」
「五回は観すぎだろ、どんだけ暇なんだよ」
 ビジネスホテルの無料映画チャンネルは一週間同じタイトルを永遠と流していた。ちょうど宿泊期間中にタイトルが変わる日程になっていなかったため、今日も明日も明後日も、同じ映画しか見ることができない。
「五百円払えばアダルトチャンネル見れるじゃん」
「知ってる。でもあれ、古いやつしかなさそうじゃね、」
「そーでもないぜ、昨日はよしだ桃花のぶち抜き三時間やってたし」
「マジっ、それを早く云えよ。今晩見よっと」
「かおりじゅんこの出会って五秒シリーズもあったし」
「あれはいーや。五秒どころか五分経っても挿入しねぇじゃん」
 なんて実に下らない会話をしながら改札を抜ける。出張なんてそんな頻繁にあるもんじゃない。いつもの自分の家を離れることは新鮮だけど、自分の家じゃないからホテルの部屋に戻ってもやることがない。だから自然と頭はパチンコとテレビとエロにシフトする。
「あのお部屋でマッサージサービスって、かわいいおねぇちゃん来ねぇのかなぁ」
「オバサンだったわ、掃除婦風の」
「もう試したのかよ、何期待してんだよ」
「だってマジ肩凝ったんだって、普段机に向かって授業聴くことなんてねぇからさぁ」
「それは確かに」
 講習という名の知らないオッサンのお喋りは、学生時代の退屈な授業と大差無い。退屈すぎて講義中の半分は上の空で、まったく関係のない空想ばかりしている。教室には男性ばかりが二十名程度。隣り合った席を避け、疎らに座っている。俺たちみたいにスーツ姿の人間もいれば、自社の作業着らしき服装の者もいる。きっとまぁ、大体同じ様な職業の人間ばかりなんだろう。年齢層は割りとバラけている気もするが、全くもって女性がいない。どんな場所に行っても、とことん女性に縁のない人生なんだなと思い知らされる。古びた専門学校の校舎のような建物は、高年齢層の生徒ばかりの所為か覇気も活気もなく、心成しか照明まで暗い気がした。
「えー。では、昨日の続きですね。テキストの六十ページを開いてください」
 耳慣れたようなセリフを教壇に立つオッサンが云った。あのオッサンは、いつからこんな仕事をしているのだろう。こんな、職場から強制参加させられているヤル気のない中年男ばかりを前にして、年中教鞭を振るう仕事をするって、実際どんな心境なんだろう。病んできたりしないだろうか。俺だったら、三日も持たない気がする。同じ無口なモノを相手にする仕事でも、車のエンジンいじってる方が数百倍楽しいだろうに。もしこれが、こんな寂れたビルの一角ではなく、高校だったなら。あのオッサンの抑揚のない喋りもいくらかマシな声音になるのだろうか。教室がもっと明るくって、そんでもって作業着のまま授業を受けるような工業高校でなくって、普通科の共学だったとしたら。普通科の、共学だったとしたら。
 そこにはきっと、女子高生がいる。俺の青春には登場しなかった、華の女子高生が。そう、今朝も通勤電車の中で、制服姿の女の子を何人か見かけた。制服姿の女の子なんて日常生活ではまったく関わってこない存在だったから、朝から焦ってしまった。俺はほぼ男子校と云っても過言ではない工業高校の電気科出身で、家から二十分のチャリ通学で、女子高生とは無縁すぎる十代を過ごした。制服姿の女の子といえば、アダルトビデオという図式が脳内に成り立ってしまっている。我ながら、貧困すぎる発想。部活に文化祭に体育祭、共に汗を流して笑いあった思い出。そんなものが全くない。何だか、すげぇ損してる気がしてきた。あぁ、人生、もう一回やり直したい。
 意気消沈して斜め向かいの青木に目をやると、ヤツは船を漕いでいた。ゆらゆらと頭が小さく揺れる。どうせ昨日、一晩中アダルトチャンネルを見てたんだろう。そうでなくっても、この授業は退屈だった。周りを見渡すと、寝ている人間も結構いる。一応、単位毎に試験はあるが、逐一マジメに聞いていなくても普段の業務内容のおさらいみたいなもんだったから、ある程度答えることは出来る。欠点を取る可能性は、まず無い。
 今夜は何して時間潰そうか。ホテルの向かいにあるすき家に行って、シャワー浴びたら青木の云ってたアダルトチャンネルでも物色しようかな。よしだ桃花のぶち抜き三時間は俺も見たい。小柄で、でもEカップ巨乳のベビーフェイス。黒目がちのぱっちり二重の彼女が上目遣いに見上げるカメラ目線に、わざとだと判っていてもぐっとくる。そうだ、よしだ桃花といえば、女子高生モノが多かったはずだ。小柄で童顔の女優となれば、必ずついてくるレパートリー。こんな感じの薄暗い教室で、何故かヒロインの女優以外はみんな男子生徒ばかりっていうAVならではのシュチエーションのヤツを見た気がする。確か、最初は不良に目を付けられて、放課後軽く痴漢行為をされるんだっけか。女優は童顔だけど、男優が明らかに老け顔なのに学ラン着ているところが不自然なんだけど、それはまぁしょうがない。そんでもって、不良の痴漢に耐えかねた桃花が担任のオッサン教師に相談。そしたら何故かそのオッサン教師に保健室で犯されてしまうっていう筋書きだったような。しかも後日には何故か教師も不良も一般生徒も入り乱れての輪姦状態。って、何でこんな展開になったんだっけか。理解不能だ。そもそも、アダルトビデオにストーリー性なんて求めてないんだから、ヌける場面が随所に散りばめられていればそれでオッケーなんだけど。なんかあの時の男優、このオッサンに似てないか。こういういかにもな七三分けで、タータンチェックのセーターを着て、赤いネクタイ締めてた辺りが。そうだ、オッサン教師に犯されるシーンが煩わしくって、早送りしたからストーリーが判んなくなってんだ。ジャケット見てそそられるものでも、実際見てみたら男優がキモすぎて萎えるタイトルは多い。だいたい俺は、若い女の子にオヤジを充てるシュチエーションがあまりすきではない。だから女子高生×中年教師だなんてもっての外だ。なんだか、あまりにも女の子とのビジュアル的落差が激しすぎると、気の毒になってヌけない。アダルトビデオにアイある展開なんて求めてないんだけど、泣いてる女の子見るよりは感じている切ない表情を見るほうが興奮するってだけの話。征服感はあって欲しいんだけど、泣かせたくは無いっていう、この矛盾。なんとも絶妙なバランスなんだな、これが。
 そんなことを考えてたら、授業が終わった。
「岩原、今日は昼飯、教習所の裏の来来軒行こうぜ」
 さっきまで爆睡してた癖にけろりとした顔をした青木が振り返る。俺は顔が引きつっているのが自分でも判った。
「いい。」
「何でよ。今日はそのつもりで弁当買って来なかったじゃん」
「いいから先行っててくれ」
 席に座ったまま、睨むように青木を見上げる。ヤツは暫く黙っていたが、静かに背広を持って立ち上がった。
「……ま、なるべく早く来いや。昼休み、短いし」
 事情を察した青木はひとりで教室を後にした。隣の野郎は鞄から弁当を出して水筒のコップにお茶を注いでいる。俺は極寒の季節にフンドシ一丁で滝壺に飛び込む妄想をして、何とか股間の膨らみを沈めようとした。



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本当にこれがオトメ小説なんでしょうか・・・。
いや、そうなんですよ!!!(汗)
サワムラ的オトメな男子のポイントは、性癖はノーマルで健全な性欲がある二十代の青年ってとこ。AV女優に求めるビジュアルと、実際傍にいたい女性のイメージが、被っているところ(小柄)と全然違うところ(巨乳・アイドル顔・年下系)とがあるところに焦点を当ててみました。って誰も気付かねぇか。
ってか、1話で風俗、3話でアダルトチャンネル(妄想)って。一見ただのエロまんが風ですね・・・。この調子だと5話辺りで生身の女の子でも登場しそう。ですが、イワハラくんは奥手な小心者なんで、そんな人生は歩めないでしょう。(本当に?)

これ、70%は訓練出張中の同僚の出来事です。同僚H・M・D・Tたち四人のエピソードを織り交ぜて見ました。
お前ら、講義中にどうやったら勃起できんだ?と非常に不思議に思った出来事。多分、こんな感じかな、と。
意外と皆さん、妄想力豊かなんですね。(それともただ飢えてるだけなのか?)
てゆうか、お前らと出張中行動を供にしなきゃなんないあたしは、こんな会話ばっか連日聞かされて気まずいんですけど!!!(笑)

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月嘩
サワムラの主催する小劇団…のはず。2012年に旗揚げ公演を行い、2014年現在、5月公演に向けて準備中。

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二十代半ば(から始めたこのブログ・・・2014年現在、三十路突入中)、大阪市東成区出身。
乗り物の整備をしている、しがないサラリーマン。
3度の飯より睡眠、パンクなライブ、電車読書、などを好む。
この名前表記のまま、関西小劇団で素人脚本家として細々と活動中でもある。

1997年頃~2006年ごろまで、「ハル」「サワムラハル」のHNで創作小説サイトで細々とネットの住民してたがサーバーダウン&引越しによるネット環境消滅が原因で3年ほど音信不通に。。。
あの頃の自分を知っているヒトが偶然にもここを通りかかるのはキセキに近いがそれを願わずにはいられない。
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