現場仕事と仲間のこととか、たまにイデオロギー的なことをつれづれに。
読んだ本、すきな音楽やライブのことだとか。
脈絡無く戯言を書き殴る為の、徒然草。
2012/04/21/Sat
じゃあ食えばいいじゃん。
って感じですが。
実はいま口がほとんど動かせなくて。
食べたくてもそれが苦痛で食べられないのです。
19日にですね、口の中の手術をしまして。
2針縫ったんで、口があまり動かせないんですよね。
じっとしてるとたいして痛くないんですが、喋ったり笑ったり(てか笑ったりが無理かと。元々笑わないキャラでよかった(笑))、そして食べたりがかなり、かなり辛いです。
糸が突っ張るし。
痛いってより、すごい違和感。
お箸に食べ物を載せた状態で口の中に入れれるほど、口が開かない!!
信じられないくらい口が開きません……。
左が悪いんですが、左口の端っこから、縫った糸の跡(つまり傷痕)が二筋残ってるんですが、それも痛いし。
ここ数年、顎を悪くしてから、口周りの不具合が続いてる所為で、「食う」ことが制限されることが多いです………
食の楽しみが断たれたら、マジ人生の楽しみが減ります………。
禁酒&禁煙も辛い。。。
ドクターから1週間は吸うなと言われていて。
禁酒は粘ったら、翌日からは飲んでもいいって言われたけど(医者に粘るなよ)、予想以上に傷口がアレなもんで、なるべく早く治ってほしぃっす。
とにかくいろいろと辛いっす。
会社の休憩時間にタバコ吸えないのも予想以上に辛い。
これは昨日ミケから教えて貰った飴ちゃんを舐め続ける方法でなんとか乗り切ってます。(彼は現在禁煙半年くらい)
身体の不具合がなくなっていってる途中ということで喜ばしいのですがね。
って感じですが。
実はいま口がほとんど動かせなくて。
食べたくてもそれが苦痛で食べられないのです。
19日にですね、口の中の手術をしまして。
2針縫ったんで、口があまり動かせないんですよね。
じっとしてるとたいして痛くないんですが、喋ったり笑ったり(てか笑ったりが無理かと。元々笑わないキャラでよかった(笑))、そして食べたりがかなり、かなり辛いです。
糸が突っ張るし。
痛いってより、すごい違和感。
お箸に食べ物を載せた状態で口の中に入れれるほど、口が開かない!!
信じられないくらい口が開きません……。
左が悪いんですが、左口の端っこから、縫った糸の跡(つまり傷痕)が二筋残ってるんですが、それも痛いし。
ここ数年、顎を悪くしてから、口周りの不具合が続いてる所為で、「食う」ことが制限されることが多いです………
食の楽しみが断たれたら、マジ人生の楽しみが減ります………。
禁酒&禁煙も辛い。。。
ドクターから1週間は吸うなと言われていて。
禁酒は粘ったら、翌日からは飲んでもいいって言われたけど(医者に粘るなよ)、予想以上に傷口がアレなもんで、なるべく早く治ってほしぃっす。
とにかくいろいろと辛いっす。
会社の休憩時間にタバコ吸えないのも予想以上に辛い。
これは昨日ミケから教えて貰った飴ちゃんを舐め続ける方法でなんとか乗り切ってます。(彼は現在禁煙半年くらい)
身体の不具合がなくなっていってる途中ということで喜ばしいのですがね。
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2012/04/18/Wed
最近は舞台の台本の手直しに追われています。
そして役者さんもぞくぞくと決まっていき、練習も始まっている模様。(私は仕事の関係でまだ練習に顔を出せていません)
そして文章に行き詰ったときは、文章で息抜き。
書きやすい文章を書くことによって、脳が活性化されて、いいセリフが思い浮かばないかなーと。
それでは恒例になってきた息抜きリアルサラリーマン小説・・・じゃなかった、乙女小説、スタート。
*----------------------------*
降り立った瞬間、あぁ、帰ってきたな。と思った。大きく伸びをしてみる。反射的に吸い込んだ空気が、心成しか澄んでいる。気がした。
知らないメールアドレスから中学時代の同窓会の連絡が来たのは、一ヶ月前。相手は当時のクラスメイトで女子のリーダー格だった派手な女の子、石井玲香から。彼女とは全くもって親しくはない。一体どういうツテで俺の連絡先を知ったのか定かではないが、折角こうして呼んで貰えたんだから、参加してみようという気になった。それに、こんな機会がないとあのクソ田舎に帰ることもまずない。田舎の若者は大抵、就職先を東京や大阪や名古屋などの都会に選び、地元に残っている友人なんて全くいないからだ。両親と年の離れた妹が地元には残っているが、別段、出向いてするほどの会話はない。母親からは時折宅急便と電話が掛かってくるが、親父とは特に接触もないし、妹とは元々仲のいい兄妹でもなかったため、連絡は取り合っていない。一時、登録しただけで殆どやっていなかったソーシャルネットワークの友人申請に妹の名前があって、三日間頭を悩ませたことがある。コイツ、何考えてんだ。若しかして母親からのまわし者か。それとも単なる気まぐれか。妹の日記も呟きも見たくはなかったし、自分の私生活を覗き見られることも抵抗があったが、そもそも俺は日記なんて書いていなかった。つまり、別に困ることなんて何にも無い。ってことに気付いて三日目に、承認ボタンを押した。それからは一度も接触を取っていない。もう、二年ほど前の話だ。
石井からの情報によると、連絡がついたのは殆ど女子ばかりの十五人。内、男子は三人らしい。開始時間は十九時から。場所は中学の最寄の駅前にある飲み屋街のひとつで、俺は有休休暇を取りここまで新幹線と特急列車を乗り継いで来た。時刻は十八時五十分。今から行けば開始時間ジャスト。だが、俺は敢えて駅前のパチンコ屋に入った。理由は簡単。こういう会、男は遅れて登場するものだからだ。つまり、最初から顔を出せば俺は殆ど喋ったことのない女子に囲まれて暇な時間を暫く過ごす状況に陥る。それを回避するため、他の男連中が着そうな時間帯を狙って顔を出す算段だった。
三十分ほど、出すつもりもない台を連続リピートで回し、野口英世が一枚飲まれた辺りで店を後にした。入り口付近で、一本煙草も吸っておく。女子が中心の飲み会なら、禁煙の空気が流れているかもしれない。
「お、岩原だっ。念願の男子登場でーす」
通された座敷に入った瞬間、声が掛かった。おぼろげにしか覚えてなかったが、確かこいつが石井だ。まあまぁ、この辺に座って。と、奥の空いてる席を示される。座席は殆ど埋まっているようで、女子の間にぽつぽつと飛び石で空席があった。
この様子、どうも俺が男で一番乗りだし、後から来るだろうと思われる男ふたりとも会話できる配置ではない。
「岩原変わってないねー」
「髪型まで同じじゃない、」
「ホントだ。ちょっとは成長しなよっ」
周りの女子たちがけらけらと笑いながら新参者の俺に対応する。お酒の力も手伝ってか、久しぶりに顔を合わせた所為か、みんなテンションが高い。
「でも生え際だけ後退したっていう」
俺は前髪をペロッとめくって見せた。お決まりの自虐持ちネタ。案の定、やだ、本当だ、と笑いも誘えたが、石井の発した、
「男子もハゲ始めるくらいあたしらも年喰ったってことよね」
「恐いわぁ」
という流れに持ち込まれてしまい、十年の月日を感じさせるリアルな老化ネタになってしまった。
「牧原と上智は、」
「牧原は遅れてくるって。上智は二次会からの参加」
右隣に座った黒髪ショートボブの女子が答える。残り二名の勇敢なる男子の参加者の行方を尋ねてみたが、あまり好感触な回答ではない。派手な髪飾りにデカイピアスを耳からぶら下げ、睫はバシバシと音がしそうなほど盛られていて、頬も異様に赤い。この子、誰だったっけ。ふーん、そっか。と適当に相槌を打つ。
「ねぇねぇ、あたし誰だか判る、」
斜め向かいに座るお団子頭のベース顔の女子がせっついてくる。隣の子が、またそれ云ってる、と笑う。
「誰が誰だか判んねぇよ。中学時代と違ってみんな化粧で化けてんじゃん」
正直な感想をここぞとばかりに発言する。変に知ったかぶりするより、最初の段階で正直に覚えてないことを暴露してしまった方が気が楽だ。 お団子頭は絶対驚くと思うよ、と自信たっぷりに含みを持たせて、ソフトボール部の四番、神薙円だよ、と云った。
お。おぉ。神薙円といえば、うちの中学で強豪だと有名だったソフトボール部を全国大会まで引っ張った四番じゃないか。確か、真っ黒に日焼けした顔黒ギャルを連想させるような顔に、ドレッドヘアのようなチリチリのクセ毛の、特徴的ないでたちだった。
「吹っかけてんじゃねぇよ」
「ほら、信じられないでしょ。信じられないくらい色白になったでしょ。髪もストパー当てたし、そばかすもエステでだいぶ消して貰ったんよ」
マジで。本気で神薙円なの。
神薙の名を語る人物は色白で、髪も自然なストレートになっていて、大人な淡いピンクのカーデガンを羽織っている。耳には小ぶりなピアスを付け、頬を薄くピンクに染めて喋る。服装だって清潔感に溢れていて、スポーツをやっていたような体型にもあまり見えない。当時は制服のスカートの下からいつも赤い学校指定のジャージをモロ出ししていたくせに。人ってこんなに変われるもんなんですか。
「岩原はぜんぜん変わってないから信じられないかもしんないけどね。あんたの変わったところといえば、身長が伸びたことと生え際後退したことくらいでしょ。相変わらず肌は白いし、そばかすだらけだし」
「男は化粧で隠せないのっ」
この挑戦的な口調、確かに神薙だ。
俺は部活関係で神薙とはそれなりに接触があった。和太鼓隊という文科系か体育系か微妙なポジションの男子部活に所属していた俺は、大会出場する部活の遠征に、応援団という位置付けで付き添っていた。対して才能がなくっても授業を堂々とサボれて全国各地を仲間と一緒に旅行できるというオイシイ面だけ見て入部した。実際、ソフトボール部には全国大会まで連れて行って貰えてその目的は達成されたのだが、グラウンドで何時間も太鼓を叩かなければならないのはそれなりに辛かった。お陰で、神薙の云うように顔にはそばかすがいっぱい出来てしまったのだ。
宴会はウエディングドレスの話題で盛り上がっていた。田舎の婚期は早い。世間では二十五なんてまだまだ独身者も多いイメージだろうが、都会と違って娯楽の少ない田舎では最大の楽しみは恋愛とセックスになるようで、とにかくみんな結婚が早かった。現に、今ここで話題になっている結婚式で着たドレスの話も、殆どの連中は過去の話として語っていて、今年結婚を控えている子に何人かがアドバイスをしているみたいだ。
十数人の飲み会で男は俺ひとりだけって。ハーレム状態じゃん。なんて来る前は一瞬思ったけれど、蓋を開けてみれば周りに座るは人妻ばかりなり、ってか。何だか逆に情けない。それに、ウエディングドレスの話題なんて興味もない上に、会話に入り込む隙すら見当たらない。
「サラダ、要る、」
左隣に座る女子から声が掛かった。大皿まで手が届かない俺を気遣って、取り分けてくれたらしい。あ、ども。と言って受け取る。ゆるいクセ毛のようなウェーブの掛かった淡い栗色の髪を胸元までおろしていて、薄化粧なのに紅を引いたように唇だけ妙に血色のいいアンバランスな色合い。透け感のある淡い水色のシフォンのブラウスを着た彼女は、何処となくお嬢さん風の雰囲気。こんな子、クラスにいたっけ。いや、でも中学時代の話しだし、あれから十年も経過している。神薙もそうだったけど、女性は化粧で化けることだってできるし、服装で雰囲気だって劇的に変わるもんだと話にはよく聞いていただろ。
「退屈じゃない、」
しまった、顔に出てたか。俺には無縁すぎる結婚式話が永遠と繰り広げられる所為で、どうしても話題には入っていけないし、相槌すら打てない状況が続いていたから。
「まぁ、女の子ばっかだしね」
「じゃなくって。誰が誰だか、よく判ってないでしょ」
えっ。思わず声が漏れた。核心を突いた科白。彼女はふわっと笑った。悪戯に、ではなく、優しく笑った。
「だって、岩原くんって、あんまり学校に来てなかったもんね」
「そうだっけ、」
「忘れたの。私、学級委員だったからあなたの家まで溜まったプリント類を届けに行ったことあるんよ」
そういえば、そんなこともあったような気がする。両親が早朝から働きに出ていて通学時には誰もいない家だったもんで、当時の俺は好き勝手に学校をサボっていた。その日の気分や、授業や担当教員の好き嫌いでよく仮病を使った。苛められっ子だったわけでも何でもなくって、ただの自己中心的な人間だったのだ。それに、クラスでも気に入らないヤツとは直ぐに殴り合いの喧嘩をしていたし、いわゆるプチ不良だったのかもしれない。
「岩原くんって殆ど学校来ないし、来てもすぐ喧嘩するし、ちょっと恐いイメージあったから。私、勇気出して家まで行ったのに、突き返されたんだよ」
今は昔。そういうノリで、彼女は笑った。
あの日、俺は面食らったのだ。まさか先生ではなく、殆ど喋ったこともない学級委員の女子が家まで来るとは思わなくって。家のドアを開けた瞬間、つっけんどんな態度を取ってしまった。今も昔も変わらず、女の子にはどう接すればいいのか判らなかったというのもあるし、サボりを指摘しに来たお目付け役になんて対応すればいいのか、機転が利かなかったのもある。おずおずと、明日は学校に来てね。といってプリントを渡してきた彼女に俺は、面倒臭ぇ。と呟いたような気がする。いや、正確には何て云ったかまでは覚えてないのだが、俺の放った言葉で彼女が涙目になって慌ててマンションを後しにてしまったことだけは、ハッキリと覚えているのだ。長くて短いようなこの二十五年の人生の中で、ヤベェ、女の子を泣かせてしまった。と慌てたのはあの時だけだったから。
「でもあの後、ちゃんと学校行ったよね」
昔の恥ずかしい記憶を掘り返されて、苦笑いで言い訳をする。彼女は、そんなの当たり前でしょ、と頬を膨らませながらも、少しはにかむようにして続けた。
「でも、ちょっと嬉しかったな。私が家に行った翌日から、毎朝真面目に登校してくれるようになったから」
そりゃね。女の涙に男は弱いってのはよく云ったもんですよ。クラスの女子に泣かれてまでサボるような大層な理由もなかったわけだし。
でも待てよ。学級委員をやってた女子って、絵に描いたような目立たない、大人しくて周りにその役割を押し付けられたかのような子じゃなかったっけ。確か、眼鏡をかけていて、おかっぱを少し長くしたようなパッツンのストレート黒髪で、美術部に所属していた。名前は確か、タカイ。タカイミドリ。
ってことは、この子があの高井水鳥なのか。
揺れるふわふわの栗毛を見ながら、ぜんぜん、別人じゃないですか。と思った。思わずまじまじと、隣で料理をよそう彼女を見遣る。全然別人、とは思ったものの、記憶を辿れば確かに彼女の面影がある気もする。まぁ、当たり前だ。本人なんだから。
「ところで高井って、今も地元に住んでるの、」
大人しくビールのみを追加しながら会話を続ける。どうやら遅れてくる男二名は地元で就職しているらしい。まぁ、この男女比率の同窓会に、わざわざ帰省までする俺の方が珍しい人種なのだろう。
「うん。地元の小さな印刷業者でOLやってるよ」
てことは、まだ彼女は結婚していないのかもしれない。何故なら既婚者たちはここぞとばかりに旦那の話をしたがるし、地元で結婚した奴らはあまり共働きの家庭がないように思う。ここで繰り広げられている八割強の人妻たちの会話も先程から聞いていると、パート先の話やら子供の育児の話やらママ友の話やらあとちょっと旦那の愚痴やらが大半で、同級生たちはもうすっかり主婦の顔になってしまっていた。そんな中で、高井の言葉に登場したのはOLの二文字。それに、左手薬指に指輪がない。
だから高井は他の女子とはあまり話してなかったのかもしれない。
急速に、彼女に親近感が涌いた。ここでは貴重な独身同士。ちっぽけだけど、二人だけの思い出話もある。そして、劇的な変化ではないけど昔に比べて垢抜けた雰囲気になった女の子。期待しなかったわけではない、同窓会ロマンスってやつがふと、脳裏に過ぎった。
*----------------------------*
誰にだってある、淡い期待やありがちシュチエーションです。
プチ不良でよく社長出勤(昼から登校)していた私は、高校の同窓会のときにクラスの男子から「沢村さんって殆ど朝の会に出たことないよね」と言われてドキッとしましたよ。あと、本当に別人のように変わった女子も中にはやはりいました。
男子視点からの参考は、女子が主催の同窓会に出席する際の極意を語ってくれた男の子の「男は遅れて来るもんだ」信念。(笑) 理由は、前述の通りです。あと、「女の涙」のエピソードも彼から拝借いたしました。
そんなふたりがもし同窓会で出会ったら・・・? みたいな。わくわくな展開。実際にも充分起こりそうではないですか?
そして女の子への対応が良く判らないという草食系男子とは、学生時代に女子との接点の少なかった系統の男子にありがちだと思います。岩原くんがプチ不良だったりするのも、そう。ガッツリ不良は中坊時代から彼女がいそうだし、文科系男子は高校・大学でデビューしそうですしね。
今回の「乙女」的ポイント、どこだか判りますか?
一応、毎回、作者的乙女な視点を入れています。乙女な視点というか、「世の中の男性の思考回路がこうであればいいなぁ」という乙女の妄想(願望)ですね。
ちなみにクラス女子のリーダー格の石井玲香はイシイレイカさん。ソフトボール部の四番、神薙円はカンナギマドカさん。学級委員の高井水鳥はタカイミドリさんと読みます。
そして役者さんもぞくぞくと決まっていき、練習も始まっている模様。(私は仕事の関係でまだ練習に顔を出せていません)
そして文章に行き詰ったときは、文章で息抜き。
書きやすい文章を書くことによって、脳が活性化されて、いいセリフが思い浮かばないかなーと。
それでは恒例になってきた息抜きリアルサラリーマン小説・・・じゃなかった、乙女小説、スタート。
*----------------------------*
降り立った瞬間、あぁ、帰ってきたな。と思った。大きく伸びをしてみる。反射的に吸い込んだ空気が、心成しか澄んでいる。気がした。
知らないメールアドレスから中学時代の同窓会の連絡が来たのは、一ヶ月前。相手は当時のクラスメイトで女子のリーダー格だった派手な女の子、石井玲香から。彼女とは全くもって親しくはない。一体どういうツテで俺の連絡先を知ったのか定かではないが、折角こうして呼んで貰えたんだから、参加してみようという気になった。それに、こんな機会がないとあのクソ田舎に帰ることもまずない。田舎の若者は大抵、就職先を東京や大阪や名古屋などの都会に選び、地元に残っている友人なんて全くいないからだ。両親と年の離れた妹が地元には残っているが、別段、出向いてするほどの会話はない。母親からは時折宅急便と電話が掛かってくるが、親父とは特に接触もないし、妹とは元々仲のいい兄妹でもなかったため、連絡は取り合っていない。一時、登録しただけで殆どやっていなかったソーシャルネットワークの友人申請に妹の名前があって、三日間頭を悩ませたことがある。コイツ、何考えてんだ。若しかして母親からのまわし者か。それとも単なる気まぐれか。妹の日記も呟きも見たくはなかったし、自分の私生活を覗き見られることも抵抗があったが、そもそも俺は日記なんて書いていなかった。つまり、別に困ることなんて何にも無い。ってことに気付いて三日目に、承認ボタンを押した。それからは一度も接触を取っていない。もう、二年ほど前の話だ。
石井からの情報によると、連絡がついたのは殆ど女子ばかりの十五人。内、男子は三人らしい。開始時間は十九時から。場所は中学の最寄の駅前にある飲み屋街のひとつで、俺は有休休暇を取りここまで新幹線と特急列車を乗り継いで来た。時刻は十八時五十分。今から行けば開始時間ジャスト。だが、俺は敢えて駅前のパチンコ屋に入った。理由は簡単。こういう会、男は遅れて登場するものだからだ。つまり、最初から顔を出せば俺は殆ど喋ったことのない女子に囲まれて暇な時間を暫く過ごす状況に陥る。それを回避するため、他の男連中が着そうな時間帯を狙って顔を出す算段だった。
三十分ほど、出すつもりもない台を連続リピートで回し、野口英世が一枚飲まれた辺りで店を後にした。入り口付近で、一本煙草も吸っておく。女子が中心の飲み会なら、禁煙の空気が流れているかもしれない。
「お、岩原だっ。念願の男子登場でーす」
通された座敷に入った瞬間、声が掛かった。おぼろげにしか覚えてなかったが、確かこいつが石井だ。まあまぁ、この辺に座って。と、奥の空いてる席を示される。座席は殆ど埋まっているようで、女子の間にぽつぽつと飛び石で空席があった。
この様子、どうも俺が男で一番乗りだし、後から来るだろうと思われる男ふたりとも会話できる配置ではない。
「岩原変わってないねー」
「髪型まで同じじゃない、」
「ホントだ。ちょっとは成長しなよっ」
周りの女子たちがけらけらと笑いながら新参者の俺に対応する。お酒の力も手伝ってか、久しぶりに顔を合わせた所為か、みんなテンションが高い。
「でも生え際だけ後退したっていう」
俺は前髪をペロッとめくって見せた。お決まりの自虐持ちネタ。案の定、やだ、本当だ、と笑いも誘えたが、石井の発した、
「男子もハゲ始めるくらいあたしらも年喰ったってことよね」
「恐いわぁ」
という流れに持ち込まれてしまい、十年の月日を感じさせるリアルな老化ネタになってしまった。
「牧原と上智は、」
「牧原は遅れてくるって。上智は二次会からの参加」
右隣に座った黒髪ショートボブの女子が答える。残り二名の勇敢なる男子の参加者の行方を尋ねてみたが、あまり好感触な回答ではない。派手な髪飾りにデカイピアスを耳からぶら下げ、睫はバシバシと音がしそうなほど盛られていて、頬も異様に赤い。この子、誰だったっけ。ふーん、そっか。と適当に相槌を打つ。
「ねぇねぇ、あたし誰だか判る、」
斜め向かいに座るお団子頭のベース顔の女子がせっついてくる。隣の子が、またそれ云ってる、と笑う。
「誰が誰だか判んねぇよ。中学時代と違ってみんな化粧で化けてんじゃん」
正直な感想をここぞとばかりに発言する。変に知ったかぶりするより、最初の段階で正直に覚えてないことを暴露してしまった方が気が楽だ。 お団子頭は絶対驚くと思うよ、と自信たっぷりに含みを持たせて、ソフトボール部の四番、神薙円だよ、と云った。
お。おぉ。神薙円といえば、うちの中学で強豪だと有名だったソフトボール部を全国大会まで引っ張った四番じゃないか。確か、真っ黒に日焼けした顔黒ギャルを連想させるような顔に、ドレッドヘアのようなチリチリのクセ毛の、特徴的ないでたちだった。
「吹っかけてんじゃねぇよ」
「ほら、信じられないでしょ。信じられないくらい色白になったでしょ。髪もストパー当てたし、そばかすもエステでだいぶ消して貰ったんよ」
マジで。本気で神薙円なの。
神薙の名を語る人物は色白で、髪も自然なストレートになっていて、大人な淡いピンクのカーデガンを羽織っている。耳には小ぶりなピアスを付け、頬を薄くピンクに染めて喋る。服装だって清潔感に溢れていて、スポーツをやっていたような体型にもあまり見えない。当時は制服のスカートの下からいつも赤い学校指定のジャージをモロ出ししていたくせに。人ってこんなに変われるもんなんですか。
「岩原はぜんぜん変わってないから信じられないかもしんないけどね。あんたの変わったところといえば、身長が伸びたことと生え際後退したことくらいでしょ。相変わらず肌は白いし、そばかすだらけだし」
「男は化粧で隠せないのっ」
この挑戦的な口調、確かに神薙だ。
俺は部活関係で神薙とはそれなりに接触があった。和太鼓隊という文科系か体育系か微妙なポジションの男子部活に所属していた俺は、大会出場する部活の遠征に、応援団という位置付けで付き添っていた。対して才能がなくっても授業を堂々とサボれて全国各地を仲間と一緒に旅行できるというオイシイ面だけ見て入部した。実際、ソフトボール部には全国大会まで連れて行って貰えてその目的は達成されたのだが、グラウンドで何時間も太鼓を叩かなければならないのはそれなりに辛かった。お陰で、神薙の云うように顔にはそばかすがいっぱい出来てしまったのだ。
宴会はウエディングドレスの話題で盛り上がっていた。田舎の婚期は早い。世間では二十五なんてまだまだ独身者も多いイメージだろうが、都会と違って娯楽の少ない田舎では最大の楽しみは恋愛とセックスになるようで、とにかくみんな結婚が早かった。現に、今ここで話題になっている結婚式で着たドレスの話も、殆どの連中は過去の話として語っていて、今年結婚を控えている子に何人かがアドバイスをしているみたいだ。
十数人の飲み会で男は俺ひとりだけって。ハーレム状態じゃん。なんて来る前は一瞬思ったけれど、蓋を開けてみれば周りに座るは人妻ばかりなり、ってか。何だか逆に情けない。それに、ウエディングドレスの話題なんて興味もない上に、会話に入り込む隙すら見当たらない。
「サラダ、要る、」
左隣に座る女子から声が掛かった。大皿まで手が届かない俺を気遣って、取り分けてくれたらしい。あ、ども。と言って受け取る。ゆるいクセ毛のようなウェーブの掛かった淡い栗色の髪を胸元までおろしていて、薄化粧なのに紅を引いたように唇だけ妙に血色のいいアンバランスな色合い。透け感のある淡い水色のシフォンのブラウスを着た彼女は、何処となくお嬢さん風の雰囲気。こんな子、クラスにいたっけ。いや、でも中学時代の話しだし、あれから十年も経過している。神薙もそうだったけど、女性は化粧で化けることだってできるし、服装で雰囲気だって劇的に変わるもんだと話にはよく聞いていただろ。
「退屈じゃない、」
しまった、顔に出てたか。俺には無縁すぎる結婚式話が永遠と繰り広げられる所為で、どうしても話題には入っていけないし、相槌すら打てない状況が続いていたから。
「まぁ、女の子ばっかだしね」
「じゃなくって。誰が誰だか、よく判ってないでしょ」
えっ。思わず声が漏れた。核心を突いた科白。彼女はふわっと笑った。悪戯に、ではなく、優しく笑った。
「だって、岩原くんって、あんまり学校に来てなかったもんね」
「そうだっけ、」
「忘れたの。私、学級委員だったからあなたの家まで溜まったプリント類を届けに行ったことあるんよ」
そういえば、そんなこともあったような気がする。両親が早朝から働きに出ていて通学時には誰もいない家だったもんで、当時の俺は好き勝手に学校をサボっていた。その日の気分や、授業や担当教員の好き嫌いでよく仮病を使った。苛められっ子だったわけでも何でもなくって、ただの自己中心的な人間だったのだ。それに、クラスでも気に入らないヤツとは直ぐに殴り合いの喧嘩をしていたし、いわゆるプチ不良だったのかもしれない。
「岩原くんって殆ど学校来ないし、来てもすぐ喧嘩するし、ちょっと恐いイメージあったから。私、勇気出して家まで行ったのに、突き返されたんだよ」
今は昔。そういうノリで、彼女は笑った。
あの日、俺は面食らったのだ。まさか先生ではなく、殆ど喋ったこともない学級委員の女子が家まで来るとは思わなくって。家のドアを開けた瞬間、つっけんどんな態度を取ってしまった。今も昔も変わらず、女の子にはどう接すればいいのか判らなかったというのもあるし、サボりを指摘しに来たお目付け役になんて対応すればいいのか、機転が利かなかったのもある。おずおずと、明日は学校に来てね。といってプリントを渡してきた彼女に俺は、面倒臭ぇ。と呟いたような気がする。いや、正確には何て云ったかまでは覚えてないのだが、俺の放った言葉で彼女が涙目になって慌ててマンションを後しにてしまったことだけは、ハッキリと覚えているのだ。長くて短いようなこの二十五年の人生の中で、ヤベェ、女の子を泣かせてしまった。と慌てたのはあの時だけだったから。
「でもあの後、ちゃんと学校行ったよね」
昔の恥ずかしい記憶を掘り返されて、苦笑いで言い訳をする。彼女は、そんなの当たり前でしょ、と頬を膨らませながらも、少しはにかむようにして続けた。
「でも、ちょっと嬉しかったな。私が家に行った翌日から、毎朝真面目に登校してくれるようになったから」
そりゃね。女の涙に男は弱いってのはよく云ったもんですよ。クラスの女子に泣かれてまでサボるような大層な理由もなかったわけだし。
でも待てよ。学級委員をやってた女子って、絵に描いたような目立たない、大人しくて周りにその役割を押し付けられたかのような子じゃなかったっけ。確か、眼鏡をかけていて、おかっぱを少し長くしたようなパッツンのストレート黒髪で、美術部に所属していた。名前は確か、タカイ。タカイミドリ。
ってことは、この子があの高井水鳥なのか。
揺れるふわふわの栗毛を見ながら、ぜんぜん、別人じゃないですか。と思った。思わずまじまじと、隣で料理をよそう彼女を見遣る。全然別人、とは思ったものの、記憶を辿れば確かに彼女の面影がある気もする。まぁ、当たり前だ。本人なんだから。
「ところで高井って、今も地元に住んでるの、」
大人しくビールのみを追加しながら会話を続ける。どうやら遅れてくる男二名は地元で就職しているらしい。まぁ、この男女比率の同窓会に、わざわざ帰省までする俺の方が珍しい人種なのだろう。
「うん。地元の小さな印刷業者でOLやってるよ」
てことは、まだ彼女は結婚していないのかもしれない。何故なら既婚者たちはここぞとばかりに旦那の話をしたがるし、地元で結婚した奴らはあまり共働きの家庭がないように思う。ここで繰り広げられている八割強の人妻たちの会話も先程から聞いていると、パート先の話やら子供の育児の話やらママ友の話やらあとちょっと旦那の愚痴やらが大半で、同級生たちはもうすっかり主婦の顔になってしまっていた。そんな中で、高井の言葉に登場したのはOLの二文字。それに、左手薬指に指輪がない。
だから高井は他の女子とはあまり話してなかったのかもしれない。
急速に、彼女に親近感が涌いた。ここでは貴重な独身同士。ちっぽけだけど、二人だけの思い出話もある。そして、劇的な変化ではないけど昔に比べて垢抜けた雰囲気になった女の子。期待しなかったわけではない、同窓会ロマンスってやつがふと、脳裏に過ぎった。
*----------------------------*
誰にだってある、淡い期待やありがちシュチエーションです。
プチ不良でよく社長出勤(昼から登校)していた私は、高校の同窓会のときにクラスの男子から「沢村さんって殆ど朝の会に出たことないよね」と言われてドキッとしましたよ。あと、本当に別人のように変わった女子も中にはやはりいました。
男子視点からの参考は、女子が主催の同窓会に出席する際の極意を語ってくれた男の子の「男は遅れて来るもんだ」信念。(笑) 理由は、前述の通りです。あと、「女の涙」のエピソードも彼から拝借いたしました。
そんなふたりがもし同窓会で出会ったら・・・? みたいな。わくわくな展開。実際にも充分起こりそうではないですか?
そして女の子への対応が良く判らないという草食系男子とは、学生時代に女子との接点の少なかった系統の男子にありがちだと思います。岩原くんがプチ不良だったりするのも、そう。ガッツリ不良は中坊時代から彼女がいそうだし、文科系男子は高校・大学でデビューしそうですしね。
今回の「乙女」的ポイント、どこだか判りますか?
一応、毎回、作者的乙女な視点を入れています。乙女な視点というか、「世の中の男性の思考回路がこうであればいいなぁ」という乙女の妄想(願望)ですね。
ちなみにクラス女子のリーダー格の石井玲香はイシイレイカさん。ソフトボール部の四番、神薙円はカンナギマドカさん。学級委員の高井水鳥はタカイミドリさんと読みます。
2012/04/13/Fri
私、職場では凄く無表情らしいです。
意識してないですが、ふと笑った際に周りに驚かれるので、その時に気付きます。
元々、その事には気付いていましたが、最近また気付いた事があります。
それは、ポーカーフェイス男だと思っていた後輩・ミケちんが、あたしの合わせ鏡になっていたこと!!
どういうことかといいますと、元来、明るいおふざけキャラのミケがあたしと喋るときはすっごく無表情なんですが、その原因は彼があたしを嫌っているだとか苦手としているだとかではなく(多分)、あたしの無表情にあったと言うことなんです!!!
何年も一緒に働いていて、何度も一緒に遊びに行っていて、かなり今さらですが、今日改めて気付きました。
理由は、過去何度か、ちょっと笑ってただけでミケから
「どうしたんですか?今日はテンション高いですね?」
と不思議がられていたのですが、昨日の夜桜の場所取りで合流した瞬間に
「酒でも飲んでたんですか?テンション高いですね」
とまた言われたのです。
確かに、酒は飲んでました。
でも、あの不思議がりよう…、もしかしてミケってあたしのこと、「アルコール入らないと笑わない人間」と思ってる……?
そのことを今日、仕事場で思い切って話してみました。
「ミケってさぁ、あたしのこと笑わない人間だと思ってるでしょ?」
そしたら案の定。
「はい。だって、朝からいつもムスッとしてますもん」
と言われてしまいました↓
「やっぱりね、だと思った。だってさ、あたしがちょっと笑っただけで、あんたすっごい驚くやん?」
「そりゃ、まぁ」
「最近さ、それに気付いたの。これから笑顔で接するように頑張るわ」
「止めた方がいいですよ、笑顔が引きつって不自然ですから」
なんとも酷い言われよう!(笑)
原因は判っています。
新入社員のとき、当時の私の上司(といっても26歳の年の近い先輩)から、「この世界でやっていきたいなら、お前は現場で笑わない方がいい。女だからって愛嬌とってると思われて、なめられだすぞ。」と真剣にアドバイスを受けたことがありまして、それがクセになってしまってるのですね。
昔の話です。
当時は女性が現場に出ることすら珍しかったので、先輩なりに私を心配してくれたのですよ。
今では女性も多くなり、男女でそんな差別化をされることも減りました。
人は合わせ鏡というけれど、こんな身近にいたとは気付けませんでした。
イチ先輩は元々向こうも無表情だし、ポン先輩は凄く明るい性格なのでこっちまで釣られて明るく接してしまうのです。
だから私にとってポンさんが憧れの先輩になってるんだろうな。
あたしにないものを持っているから。
そしてミケちんはあたしの不機嫌(見た目のみ)に釣られてポーカーフェイスになっていたんですね。。。
思えば、負の印象しか与えてないのによく仲良くできたな。(笑)
変り者め。(←お前もな。)
意識してないですが、ふと笑った際に周りに驚かれるので、その時に気付きます。
元々、その事には気付いていましたが、最近また気付いた事があります。
それは、ポーカーフェイス男だと思っていた後輩・ミケちんが、あたしの合わせ鏡になっていたこと!!
どういうことかといいますと、元来、明るいおふざけキャラのミケがあたしと喋るときはすっごく無表情なんですが、その原因は彼があたしを嫌っているだとか苦手としているだとかではなく(多分)、あたしの無表情にあったと言うことなんです!!!
何年も一緒に働いていて、何度も一緒に遊びに行っていて、かなり今さらですが、今日改めて気付きました。
理由は、過去何度か、ちょっと笑ってただけでミケから
「どうしたんですか?今日はテンション高いですね?」
と不思議がられていたのですが、昨日の夜桜の場所取りで合流した瞬間に
「酒でも飲んでたんですか?テンション高いですね」
とまた言われたのです。
確かに、酒は飲んでました。
でも、あの不思議がりよう…、もしかしてミケってあたしのこと、「アルコール入らないと笑わない人間」と思ってる……?
そのことを今日、仕事場で思い切って話してみました。
「ミケってさぁ、あたしのこと笑わない人間だと思ってるでしょ?」
そしたら案の定。
「はい。だって、朝からいつもムスッとしてますもん」
と言われてしまいました↓
「やっぱりね、だと思った。だってさ、あたしがちょっと笑っただけで、あんたすっごい驚くやん?」
「そりゃ、まぁ」
「最近さ、それに気付いたの。これから笑顔で接するように頑張るわ」
「止めた方がいいですよ、笑顔が引きつって不自然ですから」
なんとも酷い言われよう!(笑)
原因は判っています。
新入社員のとき、当時の私の上司(といっても26歳の年の近い先輩)から、「この世界でやっていきたいなら、お前は現場で笑わない方がいい。女だからって愛嬌とってると思われて、なめられだすぞ。」と真剣にアドバイスを受けたことがありまして、それがクセになってしまってるのですね。
昔の話です。
当時は女性が現場に出ることすら珍しかったので、先輩なりに私を心配してくれたのですよ。
今では女性も多くなり、男女でそんな差別化をされることも減りました。
人は合わせ鏡というけれど、こんな身近にいたとは気付けませんでした。
イチ先輩は元々向こうも無表情だし、ポン先輩は凄く明るい性格なのでこっちまで釣られて明るく接してしまうのです。
だから私にとってポンさんが憧れの先輩になってるんだろうな。
あたしにないものを持っているから。
そしてミケちんはあたしの不機嫌(見た目のみ)に釣られてポーカーフェイスになっていたんですね。。。
思えば、負の印象しか与えてないのによく仲良くできたな。(笑)
変り者め。(←お前もな。)
2012/04/12/Thu
イチ先輩(1つ上の同僚)に「飲みに付き合って下さいよ」と言ったら「じゃあ時期的に花見しようぜ」と言われました。
4月初めのことです。
言い出しっぺは一応イチさんのはずですが、あとは沢村に任せるわ~~ってノリになりましたので、桜が散ってしまう前にと慌てセッティングしました。
そもそもイチさんとも勤務が合わないし、仕事終わりに夜桜企画になり。
そして手当たり次第に声をかけまくり人を集め、場所取りに本日休みの後輩ミケを捕まえて、決行に★
沢村は一年ぶりの花見に張り切って、今年も花見弁当をこしらえました◎
乾物だけじゃ楽しくないでしょ?
去年は昼間に同期のトシと彼の奥さんとミケの4人で万博公園に行きました。
トシの奥さんの花見弁当がマジ半端なく本格的で、写真取りまくって感動したのを覚えてます。
なので夜勤明けにも関わらず9時起きして、頑張って弁当こさえましたよ!
全7種類も作りました。
おにぎり2種類、アスパラベーコン巻き、ちくわ春菊チーズ巻き、竹の子と里芋の煮物、玉子焼き、唐揚げ、枝豆。
写メの草入ってる袋みたいなんが枝豆です。
(唐揚げと枝豆は解凍しただけやけど。)
男の子たちは誰も誉めてくれないだろーからここで記録に残して自己満足。(笑)
そしてミケと駅前に18時に待ち合わせしたにも関わらず、天気いいから昼間花見をしたくって、早くもひとり公園でまったりヱビスビール飲んでます。(笑)
マジ協調性ねぇし!!(笑)
そして今宵は結局何人が集まるのでしょう?
とりあえず2年前辞めた同期のアイドル・ジンちゃんと、お酒を飲まないから普段誘いにくいけど沢村が敬愛しているポン先輩が来てくれると言っているので非常に楽しみです★
隣の場所取りしてる人たちからバーベキューな匂いが漂ってきました。
早くミケちん来ないかなー。(酒を調達してな。)
4月初めのことです。
言い出しっぺは一応イチさんのはずですが、あとは沢村に任せるわ~~ってノリになりましたので、桜が散ってしまう前にと慌てセッティングしました。
そもそもイチさんとも勤務が合わないし、仕事終わりに夜桜企画になり。
そして手当たり次第に声をかけまくり人を集め、場所取りに本日休みの後輩ミケを捕まえて、決行に★
沢村は一年ぶりの花見に張り切って、今年も花見弁当をこしらえました◎
乾物だけじゃ楽しくないでしょ?
去年は昼間に同期のトシと彼の奥さんとミケの4人で万博公園に行きました。
トシの奥さんの花見弁当がマジ半端なく本格的で、写真取りまくって感動したのを覚えてます。
なので夜勤明けにも関わらず9時起きして、頑張って弁当こさえましたよ!
全7種類も作りました。
おにぎり2種類、アスパラベーコン巻き、ちくわ春菊チーズ巻き、竹の子と里芋の煮物、玉子焼き、唐揚げ、枝豆。
写メの草入ってる袋みたいなんが枝豆です。
(唐揚げと枝豆は解凍しただけやけど。)
男の子たちは誰も誉めてくれないだろーからここで記録に残して自己満足。(笑)
そしてミケと駅前に18時に待ち合わせしたにも関わらず、天気いいから昼間花見をしたくって、早くもひとり公園でまったりヱビスビール飲んでます。(笑)
マジ協調性ねぇし!!(笑)
そして今宵は結局何人が集まるのでしょう?
とりあえず2年前辞めた同期のアイドル・ジンちゃんと、お酒を飲まないから普段誘いにくいけど沢村が敬愛しているポン先輩が来てくれると言っているので非常に楽しみです★
隣の場所取りしてる人たちからバーベキューな匂いが漂ってきました。
早くミケちん来ないかなー。(酒を調達してな。)
2012/04/11/Wed
昨日、鍋会仲間で1つ後輩のノヤちゃんから「5月に結婚が決まりまして」と出勤時の駐輪場で報告を受けました。
そして同じく昨日、他社同期のキオから5年ぶりくらいにメアド変更連絡にてメールが来たので「久々!もしかして結婚とかした?」と半分冗談でふってみたら「言わなくてごめん、結婚もしたし子供も生まれたよ」との返信が来ました。
そしてそして昨日、私の弟子(ひとつ後輩)が結婚しました。
続くなー。
春だしなー。。
でもたった1日のうちに周りで3人もの同年代の人間から結婚報告を聞くとは。(タイムラグある人もいますが)
素直におめでとうと言えない年代なのです。
ふつーにおめでとう言いましたけどね。
こころにはぽっかりと空虚感が沸くのです。
特別仲良かったわけでもないかも知れませんが。
どちらかというと、中途半端に仲良しくらいの人の結婚が一番衝撃を受けます。
凄く仲良しなら、相手さんを知っていたり、知っていなくてもよく話題を耳にしていたりして、心の底からよかったね、おめでとう、と思えるのですが、恋人の話まで聞かないけど飲み友達だった人物などは、結婚の報告が私にとっては「突然」に感じられてしまって、お祝いする心の準備が出来ていない所為で空虚感に襲われるのでしょう。
きっと。
置いてきぼりを食らった感。
弟子の彼女さんは一応知っているような感じだし、前々から結婚の予定も聞いていたので、凄くお祝いの気持ちが沸きました。
が、ノヤちゃんはダメでした。(笑)
彼、あたしより2つ年上で三十路越えてんだから、早く婿に行かしてやれよー。って思うんですけどね。
頭では。
心がついてきません。
まだ今月に同年代2人と4つ下の後輩と来月には同級生の結婚が待ち構えているんですけどね。
心が忙しいことになりそう。懐の出も。
そして同じく昨日、他社同期のキオから5年ぶりくらいにメアド変更連絡にてメールが来たので「久々!もしかして結婚とかした?」と半分冗談でふってみたら「言わなくてごめん、結婚もしたし子供も生まれたよ」との返信が来ました。
そしてそして昨日、私の弟子(ひとつ後輩)が結婚しました。
続くなー。
春だしなー。。
でもたった1日のうちに周りで3人もの同年代の人間から結婚報告を聞くとは。(タイムラグある人もいますが)
素直におめでとうと言えない年代なのです。
ふつーにおめでとう言いましたけどね。
こころにはぽっかりと空虚感が沸くのです。
特別仲良かったわけでもないかも知れませんが。
どちらかというと、中途半端に仲良しくらいの人の結婚が一番衝撃を受けます。
凄く仲良しなら、相手さんを知っていたり、知っていなくてもよく話題を耳にしていたりして、心の底からよかったね、おめでとう、と思えるのですが、恋人の話まで聞かないけど飲み友達だった人物などは、結婚の報告が私にとっては「突然」に感じられてしまって、お祝いする心の準備が出来ていない所為で空虚感に襲われるのでしょう。
きっと。
置いてきぼりを食らった感。
弟子の彼女さんは一応知っているような感じだし、前々から結婚の予定も聞いていたので、凄くお祝いの気持ちが沸きました。
が、ノヤちゃんはダメでした。(笑)
彼、あたしより2つ年上で三十路越えてんだから、早く婿に行かしてやれよー。って思うんですけどね。
頭では。
心がついてきません。
まだ今月に同年代2人と4つ下の後輩と来月には同級生の結婚が待ち構えているんですけどね。
心が忙しいことになりそう。懐の出も。
2012/04/10/Tue
今日も昨日も沢村の周りでは結婚話が行きかっています。
そんな作者の日常に偶然にもぴったりなオハナシ。
*----------------------------*
事務所にある応接用テーブルには、誰かの土産物が置いてあった。
出張土産や、会社のお得意さんから貰ったお歳暮や、誰かが個人的に有給休暇を利用して行った旅行先のものやら様々だったが、そんなこんなで割りと日々お菓子がテーブルに乗っかっていた。俺は博多通りもんの包みをひとつ取り、口に頬張りながら誰となく聞く。
「これ、誰の土産ですか」
仕事終わり。業績評価表の自己採点を行っていた福本さんは、机に向かってひたすらボールペンを走らせている。細かい字がびっしりと小さな枠に埋まっていく。
「あぁ。昼間、挨拶に来てたよ。誰だっけ、お前らの同期で本社離れたヤツ」
「安田ですか」
久しぶりにその名前を思い出した。口にすることも、何年もなかった気がする。
「そうそう、安田クン。すごいねー、彼。今度、ロンドン駐在の枚方さんトコに二週間派遣されるらしいよ」
「何しに行くんスか、」
「知らない。多分、向こうの技術学びに行くんじゃない、」
「何だ、領収検査員補佐とかじゃないんですね。びっくりした」
「でも海外出張って、かっこいいよなぁ。俺も行ってみたいわ」
「そうっすねぇ」
同期の出世は嬉しいものだが、同時に複雑な気分をもたらすものだ。競い合うことなんて趣味じゃないけど、異例のスピード出世をしている安田には、もやもやとした、なんとも言い表しにくい黒い感情が以前からあった。ライバル心、なんていうと美しく聞こえるが、多分そんなもんじゃない。本社と支店を入れて六名入社した俺の同期は直ぐにふたりが辞めてしまい、現在残っているのは四人だった。本社には俺と青木、東京支店にひとり、そして残りが系列会社に出向に出ている安田裕規。
安田は、俺なんかと違って世渡り上手なタイプなのだ。上司や女の子のウケがいいのも、出向組に選ばれたのも、実力云々よりはゴマ擂り上手のイメージが強い。いつもにこにこ笑ってるけど、腹の内では何考えてるかさっぱり判らない。最初から、同期の中でも飲み会以外で絡んだことはなかった。それに、飲み会でも二次会から行くキャバクラや風俗には絶対に参加しない。別に、そういったことが苦手なヤツもいるわけだしそれは構わないのだが、俺たちがキャバクラに足を運んでいる間、最初の居酒屋でカウンターに座る女の子を永遠と口説いていたことを後から風の噂で聞いたときには、正直引いてしまった。
なんというか、つまりまぁ、ノリがズレてる奴なのだ。
そしてその変わり者の安田の歴史の中には、纐纈さんが存在した。
「あの、纐纈さんって、今日出勤でしたっけ、」
ふと気になって、辺りを見渡す。彼女の姿は見当たらない。
「ちかたんなら、奥の喫煙室にいるよー。何、イワちゃん、彼女が気になるの、」
いや、別にそういうわけでは。と云おうとして思い留まる。彼女が気になるのか彼が気になるのか、どっちだろう。と自問してみた。やっぱり、
「一応、同期ですからね。これでも」
「嘘ばっかり」
福本さんは顔を上げた。悪戯にニヤっと笑う。浅はかに見える俺の考えは簡単に見透かされているようだ。やっぱり気になるのは、遠くに行っちまった変わり者の同期よりも、毎日ツラを拝んでいる身近な先輩の方だ。
「大丈夫、元カレに会ったくらいで落ち込む纐纈姐サンじゃないって」
「……だといいんですが」
あぁ見えて、レンアイには不器用なんスよ、あの人。と、胸の内で呟いた。二年前、何も云えずに言葉を噛んで彼氏に従っていた纐纈さんのことを思い出す。
意味深な科白を残したまま喫煙室の扉を開けると、課長と纐纈さんと青木が居た。入って直ぐに、ここがいつもの談笑ルームではなくなっていることに気付く。何とも云えない、異様な空気。説教か。いや、ちょっと違う。ただ、青木が話題の蚊帳の外になっていて、居心地悪そうにしていることだけは直ぐに判った。
「悪い話じゃないと思うんだよ。とりあえず一度、会ってみないか」
「えぇっと、でも今、私、あんまり結婚とか興味なくって……。それに相手の方にもこんな塗料まみれの小汚い小娘が現れたら失礼だと思いますし……」
「小汚いからいいんだよ、何せ相手の方は自営で修理屋を切り盛りされているんだから。纐纈が塗りと板金、相手さんが整備を請け負えば、夫婦ふたりで家業も盛り上げることが出来て夢のようじゃないか」
「確かにそうですけれど。でも私とじゃ、年齢があまりにもかけ離れていて、ちょっと」
「君ね、もう相手選べる年じゃないんだから、縁談が来るうちが華だと思っておかないと。直ぐに賞味期限切れになるよ」
じゃあ日曜日には返事しておくから、準備しておいてくれよ。と云って短くなった灰を押し潰し、課長は部屋を出て行った。
「気にしなくていいっすよ、あんなオヤジの云うことなんか」
直ぐに青木が口を開いた。随分、我慢していたような口ぶりで、一気に吐き捨てる。
「大体、纐纈さんに対して失礼じゃないですか。女性を年齢で賞味期限だとか云って」
確かにそうだ。それに、小汚いとも形容していた。目の前に居る本人に向かって。
俺も、途中参加ではあったが大きく頷いてみせる。どうやら、お節介にも課長は何処かから見合い話を持ってきたようだ。今年、彼女は二十九歳。三十までに結婚を、と考える人も少なくない。だから纐纈さんも例に漏れず結婚相手を探しているものだと思い込んだのだろうか。その辺の経緯は定かではないが、課長の今の態度はかなり強引なものに映った。
纐纈さんは大きな溜め息を吐いてから、新しいキャスター・マイルドに火を点けた。
「……でもあたしも、年齢で判断した。会ってもいない人のこと」
今日はタイミングが悪すぎる。纐纈さんは思った以上に落ち込んでいた。課長だってちょっとは空気読んで話を持ってきたらいいものを。いくらなんでも、久しぶりに振られた元カレにばったり会った日に、望まない縁談話を持ちかけるなんて悪趣味の極みだ。
「そりゃそうっすよ。向こうのオヤジは二十以上も年若い女の子が来たらウハウハでしょーけど、こっちに待っているのは旦那の介護をしながら一人で家計を支えて、シングルマザーまっしぐらの人生なんですよ」
「二十以上って、相手五十代っすか、」
思わずデカイ声を出してしまい、慌てて自分の口を塞ぐ。ドアのアクリルガラス越しに事務所の方を盗み見、課長の姿がないことを確認してほっと胸を撫で下ろした。
「酷い話っスね。いくらなんでも、二十上はジブンも考えられませんよ」
煙と一緒に、俺も本心を吐き出す。でも、芸能人は二十や三十ぐらいの年の差カップルなんて結構聞くよね。と纐纈さんは云った。
「……あたし、贅沢なのかもしんない。大体、若いからって気に入られるかどうかも判らないのに、選ぶような発言をして」
「纐纈さんっ、しっかりしてくださいよ。縁談は課長が勝手に持ってきた話でしょ、別に頼んだわけじゃないんだから、」
青木が彼女の肩を揺さぶった。いつもだったら笑いそうな話題だけれど、今日は笑えない。だって今の纐纈さんは心が弱っていて、きっと些細なことで傷付いてしまうだろうから。
俺はまた、半年前のことを思い出した。居酒屋でのふたり。カウンターに座って、ほろ酔い気分で、小学校のときに流行った昼休みの放送の話をしていた。他愛もない、子供の頃の思い出。そんな話を延々としていて、それが不思議といつまでも途切れなくって、仕事の話なんか一切出なくって、ただの友達みたいに楽しかった。そして俺たちは将来の話をした。いつかは結婚がしたいだとか、でも子供は欲しくないだとか、奥さんとは老後になってもいつまでも仲良く手を繋いで歩きたいだとか、セックスレスは恐いけどそんなにセックスをしたいとも思わないだとか、いつかは生まれ故郷に帰りたいだとか、そういった他愛もない話をアルコールと一緒に延々と。
その時の彼女が、年の差は三歳前後がいいな、と云ったのをはっきりと覚えている。俺と纐纈さんとの年の差は三つ。口下手で云えなかったけれど、じゃあ俺は旦那候補に入れますね、という冗談が云えるなぁと思ったからだ。
「断り辛いようでしたら、僕から云ってあげましょうか」
断ったって問題ない。誰の目から見ても、纐纈さんの方に利が少ないのは判る話なんだから。俺は空気清浄機を挟んだ向かいで俯く彼女の目を珍しくまっすぐ見ていた。断ればいいよ。断っていいよ、纐纈さん。
重い沈黙。暫くして、思考を振り切ったように彼女は顔を上げて横に突っ立つ男を見上げた。
「ありがとね、青木」
そう。それを云ったのは俺ではなく、青木の方だったから。
*----------------------------*
岩原くん、心の葛藤。の巻。
変わり者の同期に、敬愛する(?)先輩の恋愛遍歴に、突然降って沸いたお節介な見合い話。
仕事での評価だとか、同僚との付き合いだとか、それに対して渦巻く感情だとか。いろいろ葛藤されています。
そして、何でもハッキリ物を言えるアオキくんに、もやもやするだけで思ったことを殆ど口に出していない草食男子のイワハラくん。そんな同期ふたりを対照的に出してみたつもり。ちなみにこの様子は1話の風俗店の待合室のシーンでも同じです。
コウケツさんのお見合い話は、過去に知り合いの自動車整備士のお姉さん(当時25歳)に上司が持ってきた実話を引用させていただきました。四十五を過ぎた理容師のオッサンを強引に勧める上司に断れなくて困っていると漏らしておられました。お姉さんは実は多才な方で美容師免許も持っていたので、上司の方はちょうどいいと思われたのでしょうね。何がちょうどいいんだか。介護問題と育児問題を甘く見るな、と云いたいです。
ちなみにしぶといようですが、これは「サラリーマン青春記」ではなく「乙女小説」です。(←本当にしぶとい。)
今回の乙女ポイントは、別に恋人でもなく好意もない纐纈さんのために、ふたりの男子が本気で上司に対して腹を立ててくれたことです。普通で些細な出来事が、嬉しいお年頃です。
そんな作者の日常に偶然にもぴったりなオハナシ。
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事務所にある応接用テーブルには、誰かの土産物が置いてあった。
出張土産や、会社のお得意さんから貰ったお歳暮や、誰かが個人的に有給休暇を利用して行った旅行先のものやら様々だったが、そんなこんなで割りと日々お菓子がテーブルに乗っかっていた。俺は博多通りもんの包みをひとつ取り、口に頬張りながら誰となく聞く。
「これ、誰の土産ですか」
仕事終わり。業績評価表の自己採点を行っていた福本さんは、机に向かってひたすらボールペンを走らせている。細かい字がびっしりと小さな枠に埋まっていく。
「あぁ。昼間、挨拶に来てたよ。誰だっけ、お前らの同期で本社離れたヤツ」
「安田ですか」
久しぶりにその名前を思い出した。口にすることも、何年もなかった気がする。
「そうそう、安田クン。すごいねー、彼。今度、ロンドン駐在の枚方さんトコに二週間派遣されるらしいよ」
「何しに行くんスか、」
「知らない。多分、向こうの技術学びに行くんじゃない、」
「何だ、領収検査員補佐とかじゃないんですね。びっくりした」
「でも海外出張って、かっこいいよなぁ。俺も行ってみたいわ」
「そうっすねぇ」
同期の出世は嬉しいものだが、同時に複雑な気分をもたらすものだ。競い合うことなんて趣味じゃないけど、異例のスピード出世をしている安田には、もやもやとした、なんとも言い表しにくい黒い感情が以前からあった。ライバル心、なんていうと美しく聞こえるが、多分そんなもんじゃない。本社と支店を入れて六名入社した俺の同期は直ぐにふたりが辞めてしまい、現在残っているのは四人だった。本社には俺と青木、東京支店にひとり、そして残りが系列会社に出向に出ている安田裕規。
安田は、俺なんかと違って世渡り上手なタイプなのだ。上司や女の子のウケがいいのも、出向組に選ばれたのも、実力云々よりはゴマ擂り上手のイメージが強い。いつもにこにこ笑ってるけど、腹の内では何考えてるかさっぱり判らない。最初から、同期の中でも飲み会以外で絡んだことはなかった。それに、飲み会でも二次会から行くキャバクラや風俗には絶対に参加しない。別に、そういったことが苦手なヤツもいるわけだしそれは構わないのだが、俺たちがキャバクラに足を運んでいる間、最初の居酒屋でカウンターに座る女の子を永遠と口説いていたことを後から風の噂で聞いたときには、正直引いてしまった。
なんというか、つまりまぁ、ノリがズレてる奴なのだ。
そしてその変わり者の安田の歴史の中には、纐纈さんが存在した。
「あの、纐纈さんって、今日出勤でしたっけ、」
ふと気になって、辺りを見渡す。彼女の姿は見当たらない。
「ちかたんなら、奥の喫煙室にいるよー。何、イワちゃん、彼女が気になるの、」
いや、別にそういうわけでは。と云おうとして思い留まる。彼女が気になるのか彼が気になるのか、どっちだろう。と自問してみた。やっぱり、
「一応、同期ですからね。これでも」
「嘘ばっかり」
福本さんは顔を上げた。悪戯にニヤっと笑う。浅はかに見える俺の考えは簡単に見透かされているようだ。やっぱり気になるのは、遠くに行っちまった変わり者の同期よりも、毎日ツラを拝んでいる身近な先輩の方だ。
「大丈夫、元カレに会ったくらいで落ち込む纐纈姐サンじゃないって」
「……だといいんですが」
あぁ見えて、レンアイには不器用なんスよ、あの人。と、胸の内で呟いた。二年前、何も云えずに言葉を噛んで彼氏に従っていた纐纈さんのことを思い出す。
意味深な科白を残したまま喫煙室の扉を開けると、課長と纐纈さんと青木が居た。入って直ぐに、ここがいつもの談笑ルームではなくなっていることに気付く。何とも云えない、異様な空気。説教か。いや、ちょっと違う。ただ、青木が話題の蚊帳の外になっていて、居心地悪そうにしていることだけは直ぐに判った。
「悪い話じゃないと思うんだよ。とりあえず一度、会ってみないか」
「えぇっと、でも今、私、あんまり結婚とか興味なくって……。それに相手の方にもこんな塗料まみれの小汚い小娘が現れたら失礼だと思いますし……」
「小汚いからいいんだよ、何せ相手の方は自営で修理屋を切り盛りされているんだから。纐纈が塗りと板金、相手さんが整備を請け負えば、夫婦ふたりで家業も盛り上げることが出来て夢のようじゃないか」
「確かにそうですけれど。でも私とじゃ、年齢があまりにもかけ離れていて、ちょっと」
「君ね、もう相手選べる年じゃないんだから、縁談が来るうちが華だと思っておかないと。直ぐに賞味期限切れになるよ」
じゃあ日曜日には返事しておくから、準備しておいてくれよ。と云って短くなった灰を押し潰し、課長は部屋を出て行った。
「気にしなくていいっすよ、あんなオヤジの云うことなんか」
直ぐに青木が口を開いた。随分、我慢していたような口ぶりで、一気に吐き捨てる。
「大体、纐纈さんに対して失礼じゃないですか。女性を年齢で賞味期限だとか云って」
確かにそうだ。それに、小汚いとも形容していた。目の前に居る本人に向かって。
俺も、途中参加ではあったが大きく頷いてみせる。どうやら、お節介にも課長は何処かから見合い話を持ってきたようだ。今年、彼女は二十九歳。三十までに結婚を、と考える人も少なくない。だから纐纈さんも例に漏れず結婚相手を探しているものだと思い込んだのだろうか。その辺の経緯は定かではないが、課長の今の態度はかなり強引なものに映った。
纐纈さんは大きな溜め息を吐いてから、新しいキャスター・マイルドに火を点けた。
「……でもあたしも、年齢で判断した。会ってもいない人のこと」
今日はタイミングが悪すぎる。纐纈さんは思った以上に落ち込んでいた。課長だってちょっとは空気読んで話を持ってきたらいいものを。いくらなんでも、久しぶりに振られた元カレにばったり会った日に、望まない縁談話を持ちかけるなんて悪趣味の極みだ。
「そりゃそうっすよ。向こうのオヤジは二十以上も年若い女の子が来たらウハウハでしょーけど、こっちに待っているのは旦那の介護をしながら一人で家計を支えて、シングルマザーまっしぐらの人生なんですよ」
「二十以上って、相手五十代っすか、」
思わずデカイ声を出してしまい、慌てて自分の口を塞ぐ。ドアのアクリルガラス越しに事務所の方を盗み見、課長の姿がないことを確認してほっと胸を撫で下ろした。
「酷い話っスね。いくらなんでも、二十上はジブンも考えられませんよ」
煙と一緒に、俺も本心を吐き出す。でも、芸能人は二十や三十ぐらいの年の差カップルなんて結構聞くよね。と纐纈さんは云った。
「……あたし、贅沢なのかもしんない。大体、若いからって気に入られるかどうかも判らないのに、選ぶような発言をして」
「纐纈さんっ、しっかりしてくださいよ。縁談は課長が勝手に持ってきた話でしょ、別に頼んだわけじゃないんだから、」
青木が彼女の肩を揺さぶった。いつもだったら笑いそうな話題だけれど、今日は笑えない。だって今の纐纈さんは心が弱っていて、きっと些細なことで傷付いてしまうだろうから。
俺はまた、半年前のことを思い出した。居酒屋でのふたり。カウンターに座って、ほろ酔い気分で、小学校のときに流行った昼休みの放送の話をしていた。他愛もない、子供の頃の思い出。そんな話を延々としていて、それが不思議といつまでも途切れなくって、仕事の話なんか一切出なくって、ただの友達みたいに楽しかった。そして俺たちは将来の話をした。いつかは結婚がしたいだとか、でも子供は欲しくないだとか、奥さんとは老後になってもいつまでも仲良く手を繋いで歩きたいだとか、セックスレスは恐いけどそんなにセックスをしたいとも思わないだとか、いつかは生まれ故郷に帰りたいだとか、そういった他愛もない話をアルコールと一緒に延々と。
その時の彼女が、年の差は三歳前後がいいな、と云ったのをはっきりと覚えている。俺と纐纈さんとの年の差は三つ。口下手で云えなかったけれど、じゃあ俺は旦那候補に入れますね、という冗談が云えるなぁと思ったからだ。
「断り辛いようでしたら、僕から云ってあげましょうか」
断ったって問題ない。誰の目から見ても、纐纈さんの方に利が少ないのは判る話なんだから。俺は空気清浄機を挟んだ向かいで俯く彼女の目を珍しくまっすぐ見ていた。断ればいいよ。断っていいよ、纐纈さん。
重い沈黙。暫くして、思考を振り切ったように彼女は顔を上げて横に突っ立つ男を見上げた。
「ありがとね、青木」
そう。それを云ったのは俺ではなく、青木の方だったから。
*----------------------------*
岩原くん、心の葛藤。の巻。
変わり者の同期に、敬愛する(?)先輩の恋愛遍歴に、突然降って沸いたお節介な見合い話。
仕事での評価だとか、同僚との付き合いだとか、それに対して渦巻く感情だとか。いろいろ葛藤されています。
そして、何でもハッキリ物を言えるアオキくんに、もやもやするだけで思ったことを殆ど口に出していない草食男子のイワハラくん。そんな同期ふたりを対照的に出してみたつもり。ちなみにこの様子は1話の風俗店の待合室のシーンでも同じです。
コウケツさんのお見合い話は、過去に知り合いの自動車整備士のお姉さん(当時25歳)に上司が持ってきた実話を引用させていただきました。四十五を過ぎた理容師のオッサンを強引に勧める上司に断れなくて困っていると漏らしておられました。お姉さんは実は多才な方で美容師免許も持っていたので、上司の方はちょうどいいと思われたのでしょうね。何がちょうどいいんだか。介護問題と育児問題を甘く見るな、と云いたいです。
ちなみにしぶといようですが、これは「サラリーマン青春記」ではなく「乙女小説」です。(←本当にしぶとい。)
今回の乙女ポイントは、別に恋人でもなく好意もない纐纈さんのために、ふたりの男子が本気で上司に対して腹を立ててくれたことです。普通で些細な出来事が、嬉しいお年頃です。
2012/04/08/Sun
ことってありませんか??
私だけですか?(笑)
別に、自分に喧嘩する相手すらいないから僻んでるわけではなく、ふつうに「あぁ、喧嘩するほど仲が良いのねw」てなノリです。
最近、同じ課の2こ後輩のラシがあらゆる先輩や上司に、家の愚痴や奥さんと噛み合わないときどうしたらいいか?のアドバイスを貰っている話をよく耳にします。
当然、未婚の私は蚊帳の外ですが(笑)
聞いていると些細なことだったりして、将来自分が結婚するとき気を付けよう~なんて思います。
…ただ、それを口に出して言ったら弟子やラシに「沢村さんは心配する必要ないですよ!(結婚なんてしないから)」とバカにされるので黙ってます(笑)
ルームシェアを6年間やった身としては、人それぞれですごく様々な生活習慣やスタイルがあって、それぞれに合わせたり中間点をお互い譲歩しあったりして生活してきたので、多分もうそういうことに驚いたり苛立ったりする事は、私はない自信があります。
でもきっと、夫婦だったら信念的に譲りたくないこととかも出てきそうですよね。
みんなそうやって、他人同士で家族を作っていくのですねぇ。
私だけですか?(笑)
別に、自分に喧嘩する相手すらいないから僻んでるわけではなく、ふつうに「あぁ、喧嘩するほど仲が良いのねw」てなノリです。
最近、同じ課の2こ後輩のラシがあらゆる先輩や上司に、家の愚痴や奥さんと噛み合わないときどうしたらいいか?のアドバイスを貰っている話をよく耳にします。
当然、未婚の私は蚊帳の外ですが(笑)
聞いていると些細なことだったりして、将来自分が結婚するとき気を付けよう~なんて思います。
…ただ、それを口に出して言ったら弟子やラシに「沢村さんは心配する必要ないですよ!(結婚なんてしないから)」とバカにされるので黙ってます(笑)
ルームシェアを6年間やった身としては、人それぞれですごく様々な生活習慣やスタイルがあって、それぞれに合わせたり中間点をお互い譲歩しあったりして生活してきたので、多分もうそういうことに驚いたり苛立ったりする事は、私はない自信があります。
でもきっと、夫婦だったら信念的に譲りたくないこととかも出てきそうですよね。
みんなそうやって、他人同士で家族を作っていくのですねぇ。
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月嘩
サワムラの主催する小劇団…のはず。2012年に旗揚げ公演を行い、2014年現在、5月公演に向けて準備中。
きょう
サワムラの創作サイト。主に小説を公開中。更新頻度は亀。
蛙鳴蝉噪
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プロフィール
HN:
サワムラヨウコ
自己紹介:
二十代半ば(から始めたこのブログ・・・2014年現在、三十路突入中)、大阪市東成区出身。
乗り物の整備をしている、しがないサラリーマン。
3度の飯より睡眠、パンクなライブ、電車読書、などを好む。
この名前表記のまま、関西小劇団で素人脚本家として細々と活動中でもある。
1997年頃~2006年ごろまで、「ハル」「サワムラハル」のHNで創作小説サイトで細々とネットの住民してたがサーバーダウン&引越しによるネット環境消滅が原因で3年ほど音信不通に。。。
あの頃の自分を知っているヒトが偶然にもここを通りかかるのはキセキに近いがそれを願わずにはいられない。
乗り物の整備をしている、しがないサラリーマン。
3度の飯より睡眠、パンクなライブ、電車読書、などを好む。
この名前表記のまま、関西小劇団で素人脚本家として細々と活動中でもある。
1997年頃~2006年ごろまで、「ハル」「サワムラハル」のHNで創作小説サイトで細々とネットの住民してたがサーバーダウン&引越しによるネット環境消滅が原因で3年ほど音信不通に。。。
あの頃の自分を知っているヒトが偶然にもここを通りかかるのはキセキに近いがそれを願わずにはいられない。
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